未だ持って国内での新型コロナウイルス感染者の発生を公式に認めていない北朝鮮。その一方で、コロナ感染の疑いがある人を次から次へと隔離施設に収容している。

その環境は劣悪そのものだ。不衛生で食事も貧弱、ごく基本的な医薬品しか処方されず、収容されたせいで逆に死んでしまう人もいる。

デイリーNKの内部情報筋は、昨年6月の時点で収容者の35%が死亡するとの数字を挙げている。ところが、実際には死亡率がさらに高い水準にある実態が、別の情報筋の証言で明らかになった。

北朝鮮は処刑も含む極端な重罰でコロナ封じ込めを図ってきたが、その裏にあるもうひとつの闇が浮かび上がった形だ。

(参考記事:「気絶、失禁する人が続出」北朝鮮、軍人虐殺の生々しい場面

この情報筋は、平安南道(ピョンアンナムド)で秘密裏に行われた調査の結果として、コロナ疑いで隔離施設に収容された人のうち、半分が死亡したと明らかにしている。

「施設に入ると半分は死亡し、半分は帰宅できるが、症状がなくなったから出られるわけではない」

その理由とは次のようなものだ。

「症状が多少緩和したり、症状が残っていてもワイロを渡せば出してもらえるため、そんな人たちの中から死亡者が出ている」

情報筋は、全国9ヶ所存在する「疑診者国家隔離施設」ごとに状況は異なると前提を置きつつ、無事退所できた人のうち、約1割が死亡しているとも伝えた。

当局は、37.5度以上の発熱が確認されれば、施設で15日間自宅での隔離を命じ、それでも発熱が続く場合に国の隔離施設に収容しているが、上述の通り、劣悪な環境であることが知れ渡っており、担当者にワイロを渡して入所を免除してもらう事例が相次いでいる。コロナ対策においても、北朝鮮の拝金主義、ワイロ漬けの体制が現れている形だ。

ちなみに、現在施設に収容されている人の正確な数はわからないが、50人から1000人以上と推定値には大きな幅があり、ワイロで退所、または入所を免れる人が多いことから、実際のコロナ疑い患者ははるかに多いものと推定される。

退所者が死亡した場合、保安署(警察署)が亡くなった人の遺体を徹底した防護の下で迅速に処理している。遺族と言えども遺体に近寄ることは許されず、すぐに火葬してしまうのだが、「二度殺す」として火葬を忌み嫌う北朝鮮の人々にとって、この措置は耐え難いものだろう。

また、隣近所でコロナの疑いで亡くなった人が出たとしても、当局がかん口令を敷いているため、「コロナ」という言葉を口にすることすら許されない。

世界保健機関(WHO)が今月13日に題した週間報告書によると、北朝鮮は今月1日までの時点で、3万2512人を対象にコロナ検査を行ったが、すべて陰性と確認されたと報告している。