「韓国外交の孤立」に緊迫のソウル…日韓情報協定の破棄でトドメ

韓国の文在寅大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が延長されるかどうかが決まる期限が、24日に迫っている。徴用工問題を巡り、日本から輸出規制の報復を受けた韓国政府は、再報復として協定を破棄するかどうかで悩んでいる。

しかし実際のところ、GSOMIAを破棄したところで日本に対する報復の効果はなさそうだ。

GSOMIAの効果としてよく言われるのが、日韓の情報能力の相互補完だ。日本は哨戒機や偵察衛星など情報収集資産で勝り、韓国は脱北者を通じた人的情報(HUMINT)、北朝鮮のミサイル発射初期の把握で優れているから、協力し合えば互いに有益だというものだ。

本当にそうなのだろうか。

確かに、ミサイル情報は大事だ。ただ、現在の日韓の指導者の中に、北朝鮮と本当に戦争になる危険性を心配している人物などいないのではないか。その心配があれば、そもそも日韓が現在のように争う局面は訪れていないと思う。

また日本政府にとって、脱北者を通じたHUMINTなど「どうでも良いこと」のように思える。日本政府は、日本人拉致問題の真相を暴くための諜報活動など、ほとんど行っていない。公安機関の現場に、朝鮮語のできる人材がきわめて少ないのがその証拠だ。やっているのは、外務省が北朝鮮に対し「本当のことを教えろ」と要求しているだけのことだ。

そんな日本政府が、韓国からの情報を本気で欲しがっているとは思えない。

そもそも韓国側がGSOMIAの破棄に言及し始めた理由のひとつは、この協定の存続を重視している米国を動かし、日本との関係を仲裁させようというものだった。しかしすでに、米国の役割には限界があることが明らかになっている。つまり、今さら韓国がGSOMIAを破棄して得るものなどないのだ。

それにもかかわらず韓国では、「われわれを信用しない日本と軍事情報を交換するなんてけしからん」という主張が独り歩きしてしまっている。その手前、文在寅政権はGSOMIAの延長を素直に決めることができないのだ。

もちろん、韓国でも良識派は現状に緊迫感を持ちつつ憂慮している。19日にソウルで行われた「韓日ビジョンフォーラム」でパク・ヨンジュン国防大教授は、韓国がGSOMIAを破棄した場合、「米国は韓国が韓日米の安全保障協力から離脱したとの認識を抱きかねない。半面、中国・北朝鮮・ロシアは韓日米安全保障協力体制から韓国を分離させたと判断し、韓国外交の孤立として映るおそれがある」と語っている。

もっともな話で、普通ならばGSOMIA延長で決まりだ。変数が働くとすれば、文在寅大統領がこうした認識を共有しているかの一点ではないだろうか。

(参考記事:韓国は「自滅の道を歩むだろう」…北朝鮮がシビアに予言