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北朝鮮製の薬物が韓流も汚染か…「VIPだけ使う」事情通が証言

高英起デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
イメージ写真(写真:アフロ)

韓国紙・朝鮮日報系のケーブルテレビ、TV朝鮮は17日、「ニュース9」などの報道番組で、ソウル・江南(カンナム)のクラブなどで密売されている違法薬物の中で「最高級」とされているのは、北朝鮮製の薬物であると報じた。

江南は最近、クラブ「バーニングサン」などを舞台に、多数の韓流タレントを巻き込んで、性的スキャンダルや薬物乱用の指摘に揺れている。この街を席巻しているのが、かつては日本国内にも密輸された北朝鮮製の薬物だというのだ。

(参考記事:一家全員、女子中学校までが…北朝鮮の薬物汚染「町内会の前にキメる主婦」

TV朝鮮は、「北朝鮮製(の薬物)は製薬会社で作られ、純度が高く、最高級とされている」としながら、関係者の次のような言葉を伝えている。

「北朝鮮製はVIPだけが使っているようです。(価格は相場の)少なくとも5倍、高ければ10倍くらいするようです」(クラブ関係者)

「(国内の薬物流通量の)30〜40%くらいには(なるでしょう)。北朝鮮製といえば最高と見る。純度が良いから、品薄で(売りたくとも)売れないほど」(脱北者の薬物ブローカー)

「ほとんど北朝鮮の(脱北)ブローカーが(取引の中に)います。その人たちにお願いをしている。事前に(北朝鮮の)国境警備隊と通じているのだから...日時を約束して、私たちはカネを渡して品物を受け取る」(同)

ちなみに、報道ではほぼ一貫して薬物のことを「麻薬」と呼んでいるのだが、これは韓国メディアが通常、違法薬物の呼称を「麻薬」と「覚せい剤」に厳密に区別しないためだ。ここで言われている北朝鮮製の薬物は、ほぼすべて覚せい剤やその系統であると思われる。

北朝鮮で覚せい剤の密造・密売・乱用がまん延し、当局が頭を痛めている事実はつとに知られている。

(参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

また、覚せい剤の乱用と性的スキャンダルが「セット」になって発覚するのは、日本でも韓国でも北朝鮮でも同じのようである。

(参考記事:「男女関係に良いから」市民の8割が覚せい剤を使う北朝鮮の末期症状

ただ注意しなければならないのは、上記のような「事情通」の証言だけでは、韓国が本当に北朝鮮製薬物によって汚染されているかどうか、決定的な見極めはつかないということだ。覚せい剤はその成分分析により、精製された場所が特定できると言われる。ほかにも、覚せい剤の「仕出し地」を特定するために必要な要素は様々ある。現状では、北朝鮮製薬物の韓国汚染は「可能性」のひとつとして考えるべきかもしれない。

デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト

北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。YouTube「高英起チャンネル」でも独自情報を発信中。

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