北朝鮮が韓国の呼びかけに「だんまり」…文在寅政権が困惑

金正恩氏と文在寅氏(平壌写真共同取材団)

北朝鮮と韓国の南北共同連絡事務所に1日、北朝鮮側の所長代理を務めるキム・グァンソン祖国平和統一委員会部長が復帰した。北朝鮮は先月22日、連絡事務所から一方的に撤収して韓国を慌てさせた。その後、北朝鮮は徐々に人員を復帰させ、業務を正常に行うまでになっているもようだ。

しかし、これで韓国が安心できるわけではない。韓国軍は1日、朝鮮戦争の激戦地だった南北非武装地帯(DMZ)の「矢じり高地」(江原道・鉄原)で、戦死者の遺骨の発掘に着手した。本来、この発掘事業は、北朝鮮と韓国が共同で行うことが昨年9月の南北首脳会談を機に結ばれた軍事分野合意書で決められていた。ところが、北朝鮮が必要な手続きを踏まず、韓国が仕方なく単独で始めたのだ。

これだけではない。韓国国防省は3月18日、遺骨発掘や漢江河口での民間船舶の自由航行など南北軍事合意の履行に向け将官級軍事会談の開催を提案したが、北朝鮮は「だんまり」を決め込んでいる。

北朝鮮が、ハノイでの朝米首脳会談の失敗を受け、外交戦略の練り直しを進めているのは明らかだ。

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それでいちばん困るのが、韓国の文在寅政権である。国内経済の低迷から抜け出せない同政権としては、南北対話の進展がほとんど唯一のセールスポイントだった。歴史問題などを巡る日本との関係のこじれを支持率に結び付けようとの雰囲気も見られるが、韓国国民だって決してバカではない。

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何をやっても文在寅大統領の支持率が大きく上がらないことが、その現実を示している。

こうなると、文在寅政権は北からのラブコールが欲しくて欲しくて仕方ない「飢餓状態」に陥るしかない。そして、北朝鮮からの要求に抵抗する余地が、どんどん狭まっているのである。

すでにこの間においても、韓国は日米から、対北融和に前のめり過ぎると見られてきた。米朝の非核化対話が進まない以上、韓国もここで呼吸を整えるべきところなのだが、むしろ北朝鮮の巧みな心理戦にやられている印象だ。

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米国では、北朝鮮に配慮して最近あえて言及してこなかった同国の人権問題が、再び注目を集めそうな気配もある。

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この問題から露骨に目を背ける文在寅政権にはすでに多くの批判が集まっているが、今後いっそう、苦しい立場に追い込まれていく可能性もある。