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少女たちも被害に…北朝鮮女性「性売買強要」の生々しい実態

高英起デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
金正恩氏(朝鮮中央テレビ)

英国団体が実態報告書(下)

中国で、脱北した北朝鮮の女性たちが望まないセックスワークを強要され苦しんでいる。英国の人権団体、コリア未来戦略が発表した報告書「性奴隷」によると、12歳の少女までがブローカーによって性風俗業者に売られていくというのだ。

中国国内で暗躍する人身売買ブローカーたちは、主に中国人であると考えられる。ただ、北朝鮮国内から拉致されて売買されるケースもあることから、北朝鮮の人物も関わっていることは明白だ。実際、中朝国境に面した北朝鮮の村に住んでいた少女がブローカーに騙され中国に連れて行かれことがある。

(参考記事:中国奥地で売られた「少女A」の前に現れた救世主

報告書によると、中国でセックスワークを強要されている北朝鮮女性たちは年間1億ドル(約104億円)ものお金を稼ぐが、彼女たちが一回の売春行為で得るのはわずかに30元(約500円)だという。ネット上で性的なポーズを見せるなどの行為を行う「アダルトビデオチャット」に従事させられるケースもある。

(参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

こうした中国の業者やブローカーたちは、女性たちが逃げられないよう手を尽くす。妊娠しても体を売ることを強要するなど、やり方はきわめて悪辣だ。報告書には、中国人男性の様々な非道ぶりも記されているという。また、一部の女性は韓国人の男性に人身売買されていくケースもあるというのだ。

中国国内における脱北女性と少女たちの人身売買の闇は深い。報告書は多くの女性たちが悲惨な境遇で死に至っているとしながら、韓国政府や国際社会が、この問題をまだまだ傍観しているとも指摘する。そのうえで、中国政府に脱北者を難民として認定させ、脱北者が望んだ国へ行けるようにし、多くの女性の命を救うための議論が切実に必要だと訴えている。

(参考記事:手錠をはめた女性の口にボロ布を詰め…金正恩「拷問部隊」の鬼畜行為

付け加えるなら、中国当局がこのようなセックスワークを摘発した場合、たとえ人身売買の被害者であろうと脱北女性たちは逮捕されて北朝鮮へ強制送還される。そこで彼女たちを待っているのは、ありとあらゆる人権侵害が常態化している拘禁施設なのだ。

(参考記事:北朝鮮、脱北者拘禁施設の過酷な実態…「女性収監者は裸で調査」「性暴行」「強制堕胎」も

デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト

北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。YouTube「高英起チャンネル」でも独自情報を発信中。

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