金正恩氏が流行らせる「サウナ不倫」に庶民の怒り

金正恩氏(朝鮮中央通信)

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は先月17日、金正恩党委員長が咸鏡北道(ハムギョンブクト)にある複数の施設を訪れ、現地指導を行ったと大々的に報じた。

この現地視察の記事を見た咸鏡北道の地元民から、強い不満の声が上がっていることは、すでに本欄でも言及した。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋が、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に語ったところでは、「行ったのは軍需施設ばかりなのに、あたかも人民生活のための現地指導であるかのように宣伝している」というのが怒りの理由だという。

実はこのほかにも、次のような言葉で、金正恩氏を非難する人々がいるという。

「金正恩は、本当は温堡(オンポ)の特閣(別荘)に行きたかっただけじゃないのか」

道内の漁郎(オラン)、鏡城(キョンソン)には金日成主席が愛用していた特閣があるが、金正恩氏も2015年に温堡(オンポ)に特閣を建てさせた。現地指導は、そこに来たいがための口実ではないのかということだ。

実際、金正恩氏はこの現地指導の際、温泉施設である温堡休養所を訪れている。朝鮮中央通信によれば、深夜に同施設を訪れた金正恩氏は、浴場を見て回り「管理をよくしていないので温泉治療の浴槽が汚く、薄暗くて非衛生的だ。最近の養魚場の水槽よりもひどい。このような環境で治療になるのか、本当に汚い」と指摘したという。過去には同様に叱責された幹部が処刑された例もあり、担当者らは戦々恐々としていることだろう。

(参考記事:【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導

金正恩氏はこうした姿を国民に見せることで、「いつも庶民のことを思っている慈愛深き指導者」としてアピールしたいのだろうが、どうやら逆効果だったようだ。

そもそも慢性的な経済難の中、温泉施設の状態が改善されたからと言って、どれだけの国民が休養に訪れることができるのだろうか。北朝鮮には、国営のほか民営のサウナもあり、場所によってはそこそこ繁盛しているようだ。

ただ、利用しているのはもっぱら富裕層で、幹部やトンジュ(金主、新興富裕層)はカネに物を言わせ、家族でなければ利用できないVIPルームを愛人との逢瀬に利用し、批判の的になっているという。

(参考記事:北朝鮮で「サウナ不倫」が流行、格差社会が浮き彫りに

金正恩氏がいま本当に取り組むべきは、非核化を急ぎ、国際社会の経済制裁を解除させることだ。そうしなければ庶民の生活は底上げされず、温泉施設の改善も一部の権力者たちのためにしかならない。

もっとも、権力者や金持ちの「やりたい放題」は、北朝鮮でも昔からあることだ。

(参考記事:【動画アリ】ビキニを着て踊る喜び組、庶民は想像もできません

金正恩氏が国民のためのレジャー施設に気を配ること自体はけっこうなことだが、手を付けるべき政策の順序を間違えると、国民のためにも自分のためにもならないことを知るべきだろう。

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