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「金正恩&ロッドマン」北朝鮮美女からむちゃくちゃ嫌われる理由

高英起デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
金正恩氏

金正恩党委員長の「マブダチ」を自称する米プロバスケットボールNBAの元スター選手であるデニス・ロッドマン氏が13日、北京経由で北朝鮮を訪れた。金正恩党委員長との面会が注目されるが、本稿を執筆している時点(15日)、北朝鮮は報道していない。

脱糞事件の真相は

ロッドマン氏が訪朝するのは2014年以来、3年ぶりとなる。2014年の訪朝時には、金正恩氏と仲良くバスケットボールのエキビジョンマッチを観戦した。観戦したのは1月8日、すなわち金正恩氏の誕生日であり、ロッドマン氏は、ハッピーバースデーを歌うというサプライズらしき演出で正恩氏を大喜びさせた。

(参考記事:【動画】金正恩氏の誕生日を祝うデニス・ロッドマン

いささか馬鹿げたイベントだったものの、ロッドマン氏は、金正恩氏の誕生日を事実上明らかにした。また、金正恩氏・李雪主(リ・ソルチュ)夫妻にチュエという娘がいることも証言した。ロッドマン氏の訪朝は、目的はどうあれ、謎多き金正恩ファミリーの内幕を知る意味で大いに役立った。

この時の金正恩氏とロッドマン氏が並んで座って仲良さげに談笑する様子は、翌日の朝鮮労働党機関紙・労働新聞の一面に掲載された。ロッドマン氏もVIP待遇でもてなされ、さぞかし気分がよかっただろう。

金正恩・李雪主夫妻とロッドマン氏(2014年1月9日付労働新聞より)
金正恩・李雪主夫妻とロッドマン氏(2014年1月9日付労働新聞より)

しかし、ロッドマン一行を接待する北朝鮮当局の関係者は、大変だったと伝え聞く。

当然ながら、ロッドマン一行を招いたパーティーが開かれたわけだが、そこには名門学院から女学生たちがコンパニオンとして動員された。密室の中で何があったのかはわからないが、パーティーの乱痴気騒ぎに付き合わされた彼女たちは陰で泣いていたという情報が漏れ伝わった。

(参考記事:北朝鮮「秘密パーティーのコンパニオン」に動員される女学生たちの涙

それだけではない。一説によると乱痴気騒ぎでしこたま酒を飲んで酩酊した賓客が、脱糞してしまったという噂さえ流れた。筆者は、さすがにそれはないだろうと内部情報筋に確認をとったところ、肯定する情報も否定する情報も得られなかった。

一つ言えるのは、金正恩氏と親密な関係を築いていると見られていたロッドマン氏が、これ以後パッタリと訪朝しなくなる。そのこともあって「脱糞事件のせいもあり、某氏関係者は北朝鮮当局から出禁をくらった」という噂が流れた。

それとの関係はわからないが、依然として米朝が対立している中でのロッドマン氏の訪朝であり、米朝双方の政治的な意図に関心が集まるだろう。ただし、過去もそうであったが、ロッドマン氏が訪朝したからといって米朝関係がなんらかの影響を受けるということは考えにくい。

政治的意図はともかく、ロッドマン氏からすれば金正恩氏は自分をスターとして丁重に扱ってくれる数少ない存在だ。金正恩氏にしてみても、自分が大好きなNBAの元スターであるロッドマン氏は、最も敵対する米国人にもかかわらず、自らを最高指導者として、友人としてリスペクトしてくれる貴重な存在だろう。脱糞事件はさておいて。

北朝鮮が公式にロッドマン氏の訪朝を報道するかどうかはまだわからないが、おそらくロッドマン氏は金正恩氏と面会する可能性が高い。両名とも、久しぶりにマブダチに会えて嬉しいだろう。しかし、ロッドマン氏を接待するの現場の当局者や女性らは、またもや大変な思いをするのだ。

(参考記事:北朝鮮の「喜び組」に新証言…韓国テレビ「最高指導層の夜の奉仕は木蘭組」

デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト

北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。YouTube「高英起チャンネル」でも独自情報を発信中。

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