北朝鮮が長距離ミサイル発射台を完成か…核・ミサイル開発をやめる兆候なし
北朝鮮が、北西部・平安北道鉄山郡の東倉里にある「西海衛星発射場」に従来よりも高い発射台を新たに設置した模様だ。韓国の聯合ニュースが22日、韓国政府筋の情報として伝えた。
北朝鮮は朝鮮労働党創建記念日である10月10日に合わせ、長距離ミサイルを発射するための準備を進めているとみられる。
この発射場には従来、高さ50メートルの発射台があったが、大型化のための改修工事が行われている様子が衛星画像で把握されていた。
このほど、北朝鮮は従来より17メートル高い67メートル規模の発射台の改修工事をほぼ終了。2012年12月に発射されたものよりも飛距離の長いミサイルの発射が可能だという。
ところで、日本のメディアは完全に見落としているのだが、弾道ミサイル(ロケット)開発を巡り北朝鮮とロシアとの間に気になる動きがある。
今年4月17日、ロシアのタス通信が平壌発の記事として、「朝鮮宇宙空間技術委員会」のパク・ヒョンス副所長のインタビューを配信したのだ。「朝鮮宇宙空間技術委員会」は、2012年に長距離弾道ミサイル「銀河3号」の発射を成功させたことに対し、翌年に金正日勲章を授与された組織である。すなわち、パク副所長は北朝鮮のミサイル開発部門における高位幹部ということになる。
そのパク氏はタス通信のインタビューの中で、「(北朝鮮は)宇宙の平和的利用に向けてロシアとの協力を望んでいる」という趣旨のことを言っている。
こうした記事が配信された事実は、ふたつの意味で看過すべきでないものと言える。
まず、仮に北朝鮮とロシアが「平和目的」での宇宙開発で協力関係を結ぶようなことになれば、北朝鮮はロシアのロケット開発に参画する形で、国連制裁決議のすり抜けを狙うことができる。
次に、そんな重要なメッセージの込められた記事を、ロシア国営のタス通信が政府に無断で配信するわけがなく、プーチン大統領のお墨付きであるのは確実なのだ。つまり、ウクライナ問題で欧米との対決姿勢を強めるロシアは、北朝鮮のミサイル能力強化を暗に促すことで、米国に対するけん制材料にしようとしているのではないかと思えるのだ。
もしかしたら金正恩氏は、こんどの打ち上げをもって国内でのミサイル発射をいったん小休止し、ロシアとの宇宙開発協力に舵を切って行く可能性もないとは言えないのだ。