「ナッツ姫」の会社は日本人が育てた…日韓国交50年「秘話」

韓進グループ総帥の趙重勲氏(左)と田中角栄元首相

乗務員のマカダミアナッツの出し方に激怒して離陸直前の航空機を引き返させたとして、航空保安法違反の罪などに問われていた大韓航空前副社長、趙顕娥(チョ・ヒョンア)被告に対してソウル高裁が22日、懲役10ヶ月・執行猶予2年の判決を言い渡した

1審では懲役1年の実刑判決だったから、「ナッツ姫」こと趙被告も少しホッとしたのではないか。

それはさておき、趙被告の祖父である趙重勲(チョ・ジュンフン)氏が、田中角栄首相らと昵懇の間柄だったことは、最近ではあまり知られていない。

両社は単に親しかっただけでなく、戦後の日韓政治に残る大きな「謎」を共有した間柄だった。その「謎」とはほかでもない、「金大中拉致事件」の幕引きがいかに行われ、そこでどのくらいのカネが動いたか、という問題である。

そもそも、趙重勲氏のビジネスは日本人のおかげで成長した側面が大きいのだ。

KALを傘下に擁する物流中心のコングロマリット、韓進(ハンジン)グループには、田中角栄元首相の“刎頚の友”として知られる政商・小佐野賢治氏の手厚い支援を受けながら、ベトナム戦争特需をつかむなどして急成長した歴史があるのだ。

さらに、1965年に日韓国交正常化が実現するとジャパンマネーが韓国に流入。両国の間には巨大な開発ビジネスが生まれた。そのうち、ソウル地下鉄開発などの大型事業を安倍晋三首相の祖父・岸信介元首相らが主導した。

その一方、田中・小佐野―趙重勲ラインは外貨獲得で旨みの大きい運輸・観光分野でのビジネスで潤って行く。

ちなみに小佐野氏や趙重勲氏が手掛けた済州島開発には、東声会会長の町井久之氏も関与していたとされる。町井氏は関釜フェリーの航路開設などで、岸元首相ともきわめて近い関係にあった。そしてその人脈は、安倍首相の父・晋太郎氏にも引き継がれている。

来月でちょうど国交正常化50周年を迎える戦後の日韓政治史には、最近では「語られざる秘話」となったエピソードが、かくも多いのである。