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それぞれの25歳。2020年プロテニスシーズンでの飛躍を目指す尾崎里紗と加治遥、25歳の決意とは!?

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
沖縄での選手合宿に参加した尾崎(写真左)と加治(写真/神 仁司、以下同)
尾崎里紗は、2020年に世界のトップ100に返り咲けるだろうか
尾崎里紗は、2020年に世界のトップ100に返り咲けるだろうか

 

 尾崎里紗(WTAランキング313位、江崎グリコ所属、グラムスリー契約)にとって、2019年は苦しいシーズンとなった。6月に、ITFジャカルタ大会(賞金総額2万5000ドル)で、久しぶりの優勝をしたものの、世界ランキングは200位台後半を推移し、グランドスラム予選には届かず、結局300位台に落ちてしまった。

「(2019年の)前半では、良い時期とそんなに良くない時期があり、波がありました。後半では、また自分のテニスが見えなくなったというか、試合で迷いがありながらやっていたので、もちろん結果も出なかったです。ボールをつなぎ過ぎることが多い時期があって、積極的に強く打った方がいいのかどうか、打つ瞬間に頭の中でグルグルしてしまった。2017年に自分が良かった頃と比べると、(自分が打つ)ボールの重さとか質は、弱くなっていると思うし、相手に効いてないことも対戦していて感じる。

 あと、自分がやろうとしているテニスに、フィジカルがついてこなくて、ケイレンすることが半年で3回ぐらいあった。まずは、もう一度フィジカルをつくり直したい。(2019年では)トレーナーをつけないで、自分だけでやっていたけど、どうしても甘くなってしまう部分があるし、やらないといけないことがあやふやになっていた。フィジカルをつけて、自分のやりたいテニスに体がついてくるようにしないといけない。打つ時は、なるべくリラックスできるように意識したい」

 2012年12月にプロへ転向した尾崎は、早いもので25歳になった。一般社会では若いと思われるが、プロテニスプレーヤーの世界では、手ばなしで若いとは言えない年齢であり、今後1年1年が本当に大事な勝負の時間になる。2017年4月に世界70位までいった頃の強さを再び取り戻せるか注目だ。

「復活して、2020年前半で、フレンチオープンの予選(5月末)にかかるランキング(だいたい200位前後)へ上げたい。そして、トップ100に戻りたい」

加治遥は、まずグランドスラム予選の初挑戦を目指す
加治遥は、まずグランドスラム予選の初挑戦を目指す

 一方、加治遥(346位、島津製作所所属、グラムスリー契約)にとって、2019年は変化がもたらされた年になった。10月から株式会社グラムスリー(代表取締役 坂本明氏)とマネジメント契約を交わし、それが縁で、アドミラルのテニスウェアを着用するようにもなった。

 加治は、園田学園女子大学を卒業後にプロへ転向した選手だが、彼女が見据えているのは、プロテニスプレーヤーなら誰もが目指すあの舞台だ。

「やっぱりテニスをしているからには、グランドスラムを目指してやりたいというのがずっとありました。高校卒業時には、プロになる実力がなかったので、大学でもうちょっと力をつけてから(プロへ)挑戦しようと思っていました。結果でプロ転向を決心するような決定打があったわけではありませんが、大学在学中にも、ITFの大会にはトライしながら、大学生の試合にも出ていました。その中で、もっとプロの道でやりたいと思うようになりました。グランドスラムなら、どこでも出たいです。

 今、プロ3年目ですが、まずはグランドスラムの予選(目安200位前後)、そして、WTAツアーの予選(目安100位前後)を主軸にして戦えるようになりたいです。2020年に、グランドスラムの予選に出たい。そこからじゃないと始まらないというか、全然チャンスはあると思います。何とか1個ずつクリアできたらいい。(ツアー下部のITFレベルで)ズルズルやっていると抜け出せなくなってしまうので、いかに早くそこをクリアするか、です」

 現在加治は、尾崎と同じ25歳。大卒プロなので、世界的に見ればプロとしては遅いデビューだ。しかもプロテニス選手生命は、だいたい30代前半までなので、WTAツアー定着を目指すために、限られた時間の中で覚悟をもって挑まなければならない。

「私が22~23歳でプロをスタートさせたのは、正直遅いというのはありますけど、そこはもう今さらなので、焦らなければならない部分があるし、焦らずじっくりいかないといけない部分もあるとは思っています。

 今、フォアハンドストロークにすごく取り組んでいるので、それを試合で発揮できるようにうまくやっていきたい。あとは自分が結果を出すだけなので頑張りたいです」

 尾崎と加治のマネジメント契約をしている株式会社グラムスリーの代表取締役・坂本氏は、日頃から選手たちへ大きな期待を寄せている。

 ちなみに、グラムスリーでは2人の他に、村松千裕(230位、グラムスリー所属)と日比万葉(172位、グラムスリー所属)が在籍しており、2人共、1月13日の週に開催されるオーストラリアンオープンの予選に挑戦する。

「当然、全選手にはグランドスラムを目指してほしいです。2019年では、千裕ちゃんと万葉ちゃんは、精神的にも安定していていい具合にきたと思います。まずは、全豪の予選があるので、何とか本戦へ上がってもらいたいです。

 里紗ちゃんは、頑張りましたけど、もう一歩先にいくことができなかったので、2020年こそは飛躍してもらいたい。全仏ぐらいから、グランドスラムの予選にかかって、何とかグランドスラムを目指してもらいたい。

 加治さんは、真摯に練習に取り組むしすごく頑張り屋なので、2020年後半、全米(8月末)の予選ぐらいからグランドスラムで頑張れるといい。彼女は、大卒プロですが、そういう人でもできるんだというところを見せてほしいです」

 グラムスリーでは、まずプロテニスプレーヤーである以上、勝たないといけないのは当然としつつも、そのために最大限の努力を惜しまない選手をサポートしたいと常に考えている。さらに勝つだけではなく、観客が見て良かったと少しでも思えるようなプレー、ファンに希望を与えるようなプレーを選手に望んでいる。しかも選手自身の人格も非常に重視している。

 そして坂本氏は、まず選手たちの活躍をもちろん望んでいるが、その先にあるはずのテニス業界の活性化も願っている。

 果たして、25歳の尾崎や加治は、坂本氏の期待に応えて、2020年を飛躍のシーズンにすることができるだろうか。尾崎の復活への道、加治の新しい挑戦への道、おそらくそれぞれ険しく厳しい道になるかもしれないが、その時にこそ2人の覚悟と本当の力が試される。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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