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パーフェクトエンディング! 世界1位のバーティ、女子テニス最終戦・WTAファイナルズ初出場で初優勝!

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
優勝トロフィーの横で笑顔を見せるバーティ(写真/神 仁司、撮影機材ソニーα9)

 アシュレイ・バーティにとって、まさにパーフェクトエンディングとなった――。

 女子プロテニスツアーの最終戦・資生堂WTAファイナルズ(中国・深セン)の決勝で、第1シードのバーティ(WTAランキング1位、10月21日付け、以下同、オーストラリア)は、第8シードのエリナ・スビトリナ(8位、ウクライナ)を6-4、6-3で破って、見事WTAファイナルズ初優勝を飾った。

 決勝は、ラウンドロビン(総当たり戦)・パープルグループ1位通過のバーティと、レッドグループ1位通過のスビトリナの対決となり、これまでの2人の対戦成績は、スビトリナの5勝0敗だった。

「コートですべてを出し尽くして、ここ(WTAファイナルズ)でまた1つトロフィーを手にできるよう戦うつもりです」

 こう語って決勝に臨み、大会2連覇に臨んだスビトリナは、コートを縦横無尽にカバーできる俊足があり、闘志あふれるプレーで勝負を最後まであきらめない。

 第1セットは、バーティが、唯一成功した第10ゲームのサービスブレークを活かしてセットを先取した。

 バーティは、フォアハンドストロークのトップスピンと片手バックハンドのスライスを巧みに使い分けて、女子選手の中では珍しくバラエティー豊かなゲームメイキングをする。彼女のタッチセンスは、現在の女子プロテニスツアーの中でピカイチだ。

 第2セットは、お互いブレーク合戦になり、お互い2ブレークで迎えた第8ゲームで、バーティが3回目のサービスブレークに成功して勝負を決定づけた。

表彰式で資生堂関係者とバーティ。右から、資生堂代表取締役兼CEO・魚谷雅彦氏、バーティ、中国地域CEO・藤原憲太郎氏、チーフクリエイティブオフィサー・山本尚美氏(写真/神 仁司、撮影機材ソニーα9)
表彰式で資生堂関係者とバーティ。右から、資生堂代表取締役兼CEO・魚谷雅彦氏、バーティ、中国地域CEO・藤原憲太郎氏、チーフクリエイティブオフィサー・山本尚美氏(写真/神 仁司、撮影機材ソニーα9)

「深センで優勝でき、今夜はスペシャルナイトになって、本当に嬉しい」

 このように優勝の喜びを語ったバーティは、大会史上5人目となるWTAファイナルズ初出場で初優勝を成し遂げ、さらに、2014年大会のセリーナ・ウィリアムズ(アメリカ)以来となる世界ナンバーワンによるファイナルズ優勝者となった。

 実は、すでに大会期間中に、2019年シーズンWTAランキングの年間1位を確定させていたバーティ。4月のマイアミオープンで、グランドスラムに次ぐグレードのプレミアマンダトリー大会で初優勝。そして、6月のローランギャロス(全仏テニス)で、グランドスラム初優勝してメジャータイトルを初めて手にした。

「年間1位は、ボーナスのようなもの。自分自身にとっては信じられないような功績です。本当に信じられない1年だった」

 そして、バーティは、WTAファイナルズでも優勝して、初めての年間1位に華を添えた。

 23歳のバーティが、女子テニス界に新しい時代を築いたといっても過言ではないのだが、バーティ本人は、そんな大ごとではないとマイペースだ。

「新しい時代になったとは思いません。自分は、新しい顔ぶれの中の1人に過ぎません。(女子の)トップに(大坂ら)新しい顔ぶれがいるのは素晴らしいことじゃないかしら」

 2019年シーズンは、当時21歳の大坂なおみがオーストラリアンオープンで初優勝。USオープンでは、19歳のビアンカ・アンドレスク(カナダ)が初優勝した。そして、バーティも含めた、いわゆる“大坂世代”が大活躍したシーズンでもあった。

 現在、大坂は22歳だが、1歳年上のバーティが、WTAファイナルズの初優勝と初の年間1位を獲得したことによって、大坂より一歩先に進んだ形になった。

「私たち(チーム)こんなにも素晴らしいシーズンを過ごしてきたことをかみしめながら、ここ(WTAファイナルズの優勝会見)に座っていられることをとても幸運だと感じます」(バーティ)

 果たして2020年シーズンはどんなものになるのだろうか。もしかしたら、“バーティ時代”が訪れるかもしれない。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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