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大坂なおみ、右肩のけがでWTAファイナルズを棄権し、今季終了。彼女にとって今季ベストな出来事とは!?

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
ファイナルズ棄権の説明をする大坂なおみ(写真/神 仁司、撮影機材ソニーα9)

 大坂なおみが、10月29日現地時間15時過ぎに、右肩のけがのため棄権を申し出たため、女子プロテニスツアーの最終戦・資生堂WTAファイナルズでの戦いを終え、同時に2019年シーズンも終了させることになった。

 大会3日目に、第3シードの大坂(WTAランキング3位、10月21日付け、以下同)は、ラウンドロビン(総当たり戦)の第2戦で、第1シードのアシュレイ・バーティ(1位、オーストラリア)との大一番を戦う予定だったが、残念な幕切れとなってしまった。

 大坂の右肩の痛みは、10月第1週のWTA北京大会決勝で戦っている時に起こったという。その後、日本で練習をしていたが、サーブが打てるようになったのは10月第4週、日本での練習ラスト2日間で、中国・深センへ出発する直前だった。

 10月27日の大会初日にラウンドロビン初戦を勝利した大坂だったが、大坂のサーブが、セカンドサーブだけでなくファーストサーブでも時速130km台の時が、いつもより多かった。スピードが遅いのは、大坂の作戦かとも思われたが、今にして思えばすでに悪影響があったということになる。

 そして、初戦の翌日に大坂が起床してみると、右肩にズキズキするような痛みがあって、10月28日の練習では再びサーブが打てなくなってしまったのだった。

「残念です。ファイナルズで棄権するのは、これが2度目ですし。ここで優勝したかったので、がっかりしています」

 もともと大坂が、右肩を痛めたのは約5年前にタイでプレーした時で、手術を必要とするような重い症状ではなかったという。

 ただ今回は、大阪と北京で連続優勝して、マッチ11連勝中であったため連戦で蓄積された疲労があったことが推察される。2~3日安静にしてから、日本でMRI検査をする予定だ。

 これで2019年シーズンが終了した大坂は、マッチ40勝11敗、そして、まだ確定ではないが、WTAランキング3位でフィニッシュする予定だ。優勝は、オーストラリアンオープンを含む3回だった。さらに、日本人選手で初めて世界ランキング1位へ、21歳の若さで登り詰めたのだった。

「(1月に初優勝した)オーストラリアンオープンは、驚くべき結果でした。(5~7月の)ヨーロッパシーズンは、どん底でした。でも、私がいつも望んでいるのは、年間をとおしてより安定感のあるプレーなんです」

 その中で、大坂にとって、今季最も良かった出来事は、

「最も私自身を誇りに思うことは、USオープンの後に、ゴールをセットして、目的をもってここ(アジアシーズンとファイナルズ)に来られたことです。ここ(アジアシーズン)で大会に優勝することができました。それが明らかに(自分にとっての)ハイライトであり、すぐ思い浮かぶことです」

 大坂は、9月中旬に大阪で開催されたパン パシフィックテニスで初優勝。さらに10月第1週には、WTA北京大会でも初優勝し、プレミアマンダトリー(テニス4大メジャーであるグランドスラムに次ぐグレードの大会)での2つ目のタイトルを獲得した。

 彼女がアジアシーズンへ臨むために来日した時、スタッフやエージェントのみんなとじっくり話し合ったという。ディフェンディングチャンピオンとして臨んだUSオープンでは4回戦で敗れ、みんなの期待にこたえられなかった悔しさをアジアシーズンにぶつけたのだった。

 つまり、この2つの優勝は、大坂が強い覚悟で臨み、有言実行でつかみ取ったものだったのだ。さらに、WTAファイナルズ2年連続2回目の出場を確定させ、大坂がそこで優勝したいという大きな目標を持ち続けることにつながったのだった。

 一方、今季最も悪かった出来事は、

「たぶん(初戦敗退だった)ウィンブルドンかな。正直かつて感じたことがなかったほどの落胆でした」

 また、大坂は、10月16日に22歳になったばかりで、日本とアメリカとの二重国籍から日本国籍を選択してひとつの節目となった。そして、ファイナルズが、22歳として初めてプレーする大会となっていた。周囲で勝手に騒がれていたが、大坂が、日本人としてプレーすることに迷いがあったとは思わない。少なくともツアーの現場で、迷った素振りは見たことがなかった。

「何かが変わったとは全く感じていません。今後どうなるか見ていかないといけないですけどね。今はただ、より優れたテニスプレーヤーになっていきたいだけです。それが唯一、私のエネルギーを注いでいきたいことなのです」

 まずは右肩の痛みを完治させることが先決だが、2020年シーズンは、1月のWTAブリスベン大会から始動する予定だ。

「ブリスベンで優勝したいです。トレーニングもしっかり積みたいです。昨年のオフシーズンでは、オーストラリアに向けてとてもハードなトレーニングしたおかげで、グランドスラム(全豪)に臨んだ時には、本当にフィットとしていたという実感がありました。それを再現させたいです」

 2020年1月のオーストラリアンオープンで、大坂は、再びグランドスラムのディフェンディングチャンピオンとして臨むことになる。果たして、USオープンでの苦い経験を教訓にして、オーストラリアンオープン2連覇へつなげることができるのか、大坂の大いなる挑戦は続いていく。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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