住友ゴム工業の心意気の高さがうかがえる、ダンロップブランドの新ラケット発表とテニスボールの世界戦略
住友ゴム工業株式会社(社長:山本悟)は、ダンロップブランドの「テニスの新商品と事業戦略」発表会を、9月27日に、東京・スポル品川大井町で開催した。
そこで発表されたのが、ダンロップテニスラケット「SX」シリーズ5機種の新発売と、ダンロップブランドでのテニスアパレルの新展開だ。
12月11日から販売予定の「SX」シリーズは、新開発の“スピンブーストテクノロジー(特許出願中)”によって、これまでにない弾道補正機能を実現することができる。トップスピンを多用するプレーヤーにとっては、しっかり順回転をかけながら、ラケット面のオフセンターでボールを捕らえた場合でも飛びの安定性を確保することができ、よりアグレッシブにプレーできる。
発表会には、セリーナ・ウィリアムズのツアーコーチを務めるパトリック・ムラトグルー氏が来日して会場を訪れた。
ダンロップブランドは、2019年1月より、ムラトグルー氏が運営するムラトグルーテニスアカデミー(フランス・ソフィアアンティポリス)と、オフィシャルスポンサー契約を結んでおり、そこで練習しているプロ選手やジュニア選手にもダンロップラケットを使用してもらえるように試みている。ムラトグルー氏は、ダンロップブランドと一緒に仕事をできることを喜び、エキサイトな気持ちで取り組んでいる。
「ダンロップは、テニスで非常に長い歴史を持っていると共に、モダンな側面も持つカンパニーです。前へ進むこと、新しいものをつくることなどに関して、われわれと適合性が高い。これからいろいろポジティブなものをつくれると楽しみにしています。そして、選手たちが、潜在能力を発揮し、最高の力を出せるようにわれわれは手助けしたい」(ムラトグルー氏)
2019年1月に、住友ゴム工業株式会社は、テニス4大メジャーであるグランドスラムの一つである・オーストラリアンオープン(以下全豪)で、初めて公式ボールサプライヤーを務め、日本企業として初めてグランドスラムにテニスボールを供給した。今後、5年間公式ボールサプライヤーとしてテニスボールを供給していく。
すでにダンロップブランドのテニスボールの世界戦略は始まっており、全豪だけでなく、男子プロテニスATPツアーにも及んでいる。2019年シーズンから、マスターズ1000(以下MS)・モンテカルロ大会、バルセロナ大会、MS・マドリード大会、MS・ローマ大会といったクレーシーズンの主要大会で、すでにテニスボールが供給された。
秋シーズンでは、楽天ジャパンオープン(東京)をはじめ、MS・上海大会、成都大会といったアジアでのATP大会でのボール供給が続く。
そして、ハイライトになるのが、年間成績上位8人しか出場できない男子ツアー最終戦・Nitto ATPファイナルズ (イギリス・ロンドン)で初となるボール供給で、2019年から2023年までの5年間のスポンサー契約を結んだ。
さらに今回新たに発表されたのが2020年MS・マイアミ大会でのボール供給だ。マイアミオープンとして知られるこの大会は、シーズン序盤で毎年一つのハイライトになる大型大会で、ダンロップブランドの心意気の高さが透けて見える。
発表会の後に行われたトークショーでは、松岡修造氏も駆けつけ、ダンロップブランドのテニスボールの魅力について熱く語った。
「世界のテニスボールでは、跳ねて、スピードがある傾向です。ボールの分野でも日本から世界に近づいていかないといけない。ダンロップのボールは、耐久性、安定感、スピードを兼ね備えていて、最初から世界を感じることができます。そんなボールが、日本からつくられたことを誇りに思います」
ムラトグルー氏は、ダンロップブランドのテニスボールがより多くの大会で使用されることを好意的に受け止めている。
「毎週、選手にとって、大会ごとに違うボールに慣れることはやはり大変なことです。ダンロップのテニスボールが、ATPツアーでは、マスターズ1000をはじめとした大会、そしてグランドスラムを含め、多くの大会でオフィシャルボールとして使用されることによって一貫性が実現し、選手のプレーの質の向上にもつながります」
今後、ますます勢いを増すダンロップブランドのテニスラケットやアパレルの新展開、そして、全豪やATPツアーの主要大会でのダンロップのテニスボール供給によるグローバル戦略に要注目だ。