マイアミで早期敗退した29歳の錦織圭の「調子がいい」という発言とテニスの不出来のギャップの原因は何か

マイアミ大会2回戦では、不甲斐ないテニスで敗れた錦織圭。29歳は、プロテニス選手として若くはないが、老け込む年齢でもない(写真/神 仁司)
マイアミ大会2回戦では、不甲斐ないテニスで敗れた錦織圭。29歳は、プロテニス選手として若くはないが、老け込む年齢でもない(写真/神 仁司)

 一般社会では、29歳は若手の部類に入るが、プロテニスプレーヤーの世界ではそうではない。キャリア10年越えの選手が多く、ベテラン選手と捉えられ、若いとは思われない。

 2007年10月に、17歳でプロへ転向した錦織圭は29歳になり、彼のプロとしてのキャリアは12年目に突入した。右ひじや右手首などのさまざまなけがを乗り越えて、現在もトップ10プレーヤーである錦織は、まさに歴戦の勇者なのである。

 そんな錦織(ATPランキング6位、3月18日付け以下同)は、マスターズ1000(以下MS)・マイアミ大会に出場し、第5シードとして臨んだものの、大会の初戦となる2回戦(1回戦は不戦勝)で、ドゥサン・ラヨビッチ(44位、セルビア)に、2-6、6-2、6-3、まさかの逆転負けを喫した。

 フロリダに拠点を置く錦織にとって、ホームのようなマイアミ大会は相性のいい大会の一つで、2016年大会では準優勝という結果を残したのを筆頭に、これまで安定した成績を残してきた。それだけに今回の錦織の敗戦は衝撃的といえた。

「自分のプレーを最後もう一つ上げていけなかった。大事なところでミスが出たり、取りきれないところが、やっぱり試合の勝敗に関わったと思います」

 これまでラヨビッチとの対戦成績は錦織の2勝0敗で、今回の2回戦では、錦織が第1セットを先取したものの、錦織のテニスの調子は上向かず相手の逆転を許した。

 気になったのは、錦織自身がテニスの調子は良いと主張する一方で、マイアミ大会2回戦で見せたテニスは不出来そのもので、そのギャップに違和感を覚えずにはいられなかった。

「感覚は良かったですね。なかなか100点のプレーは、この風の中ではできなかったですけど、先週(インディアンウエルズ)よりはだいぶボールは飛んでいましたし、しっかり(ボールに回転がかかって)落ちてくれていた。全然テニスは悪くなかったですね」

 果たして本当に錦織のテニスの調子は良かったのだろうか……。 

 もしかしたら股関節辺りに問題があるのではないかと思えるほど、錦織のフットワークは悪かった。テニスコートを縦横無尽に素早くカバーできるのは、錦織の天才的なテニスを支える非常に大事な要素だ。だが、これが欠如していたため、錦織のミスが早く、テニスの調子も上がらず、気持ちも保てず、錦織の躍動するようなテニスは最後まで見られなかった。

 これでATPドバイ大会(2回戦敗退)、MS・インディアンウエルズ大会(3回戦敗退)に続く、今回のマイアミでの早期敗退だ。

 錦織の発言と不出来なテニスのギャップは、錦織が29歳であるという、プロテニスプレーヤーとしてはベテランの域に達した年齢と関係があるのかもしれない。誰でも年齢を重ねてベテランになり、時間の経過と共に実力が少しずつ落ちて行くのはプロテニスプレーヤーなら誰もが通る道でもある。また、選手によっては、けがや故障によって、パフォーマンスが落ちることもある。

 マイアミで錦織が見せた不甲斐ないプレーが、一時的なものであればいいが、それが本当に一時的なものであるかどうか、今後の錦織のプレーを見ながら判断しなければならない。

「やっていくしかないと思います。なかなか、ずっと調子を100%というのは難しいので、まぁ、珍しい2大会(インディアンウエルズとマイアミでの大会序盤敗退)ではありましたけど、これを反省して、次に向けてプラスにしていければなと思います」

 こう語る錦織は、4月から始まるヨーロッパでのクレーシーズンを、4月中旬のMS・モンテカルロ大会で始める予定だ。ハードコートから赤土のコートへのアジャストも必要だが、錦織の不調なテニスをどれだけ修正できるかもカギになり、錦織本人の年齢に見合った自覚と覚悟も必要だ。

「気持ちの面だったり、自信をつけてクレーコートシーズンに臨めれば。しっかり練習期間もあるので、まぁ大丈夫だと思います」

 たしかに29歳の錦織は、もはや手放しで若いといえる選手ではなくなったが、まだ選手として老け込む年齢でもない。けがに気をつけ、年齢に見合った体のケアを行い、コンディションを良い状態に保てれば、まだまだ活躍できる可能性はある。