迫る衆議院解散総選挙~自民党はどうなるのか?

(写真:ロイター/アフロ)

 すっかり総選挙モードになった。衆議院解散総選挙が具体的な可能性としてあがったのは9月中旬。あっという間に既定路線となった。

 これまでにも安倍首相は解散総選挙に踏み込む機会はあった。昨年は総じて安倍内閣支持率が高く、いつ解散をしても自民党は勝利する可能性が高い状態であった。昨年は、衆参同時選挙、年末年始選挙などのチャンスはあった。しかし安倍首相は解散の切り札を切らなかった。私はこれは安倍内閣の致命傷になると思った。安倍内閣はすでに長期政権であり、いつまでも高支持率が続くわけでないし、国際情勢も不安定化している。あまりにリスク要因が多いのだ。案の定、今年の2月くらいからは森友学園問題が湧き上がり、続いて加計学園問題が注目を浴びた。いずれも安倍首相個人に関わることであり、安倍内閣支持率は徐々に下がっていった。さらに、閣僚や自民党議員の不祥事・失言などが続いた。東京都議会選挙では自民党は歴史的とも言える敗北を喫した。その後も豊田真由子議員の「このハゲー」暴言や今井絵里子議員の不倫問題など逆風が続き、今年中の衆議院解散総選挙の可能性はなくなったかにみえた。来年の自民党総裁選後に行われるものと思われた。しかし、民進党の幹事長に予定されていた山尾志桜里議員の不倫疑惑騒動などもあり、流れが一気に変わった。時間をおけば、小池新党の準備が進むという思惑もあり、一気に衆議院解散総選挙の流れとなった。解散時期を間違えたはずの安倍首相が運を味方につけたともいえる。

 安倍内閣支持率も徐々に回復している。決して、昨年のような万全に近い状態ではなくなっているが、野党第一党の民進党が傷だらけになっており、総選挙で十分勝利できる状況になっている。北朝鮮の核実験やミサイル発射なども「有事の時の自民党」の法則がまだ生きており、安倍内閣支持率をあげている。安倍首相の国際的な立ち振る舞いも国民には好印象で捉えられている。トランプ大統領との密接な関係、プーチン大統領に切り込む対応、中国や韓国に対する毅然とした対応、最後の超大国インドとの対応など、プラスのイメージが先行している。もちろんこれが本物かどうか、将来に効果があるかどうかは今後の展開を待つしかないが。。

 安倍自民は自民党への逆風の嵐に凪ぎが訪れたわずかなチャンスを絶妙のタイミングで活かそうとしている。私は、自民党は前々回、前回の総選挙と同じくらいの勝利をすると予想している。衆議院の議員定数が減っているので、現有議員数を多少割り込んでも勢力割合としては維持できる。基本的に、自民党から逃げる票の受け皿がないのだ。受け皿となるはずの民進党がガタガタとなっている。民進党にそれだけの危機感があるのかわからない。私は解党を現実的に考える必要があるくらいの大敗北となる可能性が高いと予想している。結局、それによって自民党は勝利することになるのだ。

 最大のポイントは、小池新党こと希望の党だろう。私は希望の党は自民党にも民進党にも不信を持った有権者の票の受け皿となり、相当な躍進をいきなり遂げると予想している。しかし、あまりにも時間がない。泥縄式の候補者擁立にしかならない。比例での議席獲得もかなりありそうで、現在の民進党の衆議院議員数程度になるのではないかと思う。民進党が議席を減らし、その分を希望の党が議席を増やすという構図になりそうだ。

 安倍自民にとっては、現有勢力を維持するとともに、憲法改正の援軍を得ることになる。自民党、希望の党、日本維新の会を束ねると、憲法改正への勢いがつく。安倍首相は解散総選挙後は、一気に憲法改正への手順を踏んでいくと考えられる。

 ただ、自民党にとっては、希望の党という有力なライバルが登場したことは将来的には脅威だ。民主党政権の大失敗により自民党には明確なライバルがいない状態になった。自民党がそれほど支持されていなくても、国政選挙では自民党が圧勝するというパターンが続いている。緊張感のなさが、安倍政権の油断を招いたとも言える。

 この解散総選挙の後は、自民党は政権交代を見据えたライバルが新たに登場することになる。今回の解散総選挙で、希望の党が50~100議席を獲得すれば、2年後には参議院選挙がある。おそらく希望の党はここでもかなり議席を獲得することになるだろう。そうなれば、3~4年後の総選挙は、希望の党が政権奪取できるかを問う選挙になる可能性がある。東京オリンピックが終わり、小池知事はその業績とともに都政から解放されてもいい状態になっている。初の女性首相の可能性が現実的になる。つまり、自民党にとっては、今後は緊張感がある政権運営となるということだ。

 今回の解散総選挙では自民党は勝利するだろう。しかし、将来に向けては緊張感ある政権運営が求められる。