迫る衆議院解散総選挙~日本維新の会はどうなるのか?

(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 いよいよ衆議院解散がカウントダウンに入った。9月28日には臨時国会冒頭解散となりそうだ。今回の衆議院解散総選挙は政局に大きな変化をもたらす可能性が高い。戦後、長い期間、自民党政権に対抗する社会党という構図が基本となった。1990年代の試行錯誤を経て、自民党+公明党に対抗する民主党という構図が出来上がり、自民党と民主党との二大政党化が進むとみられた。しかし民主党・民進党が自滅的に勢力を弱める中で、新たな第三の勢力が求められてきた。「維新」はその一つであったが、今回の総選挙では、小池新党こと希望の党がたちあがることになり、一気に政界の構図が変わっていくと考えられる。

 日本維新の会は、国政においても一定の影響力を持つ政党として成長してきた。この総選挙で、日本維新の会はどうなるのだろうか。

 「維新」はこれまで様々な変遷を経ている。大阪を中心とした地域政党である。2010年に大阪維新の会として立ち上がり、2012年に日本維新の会となり、国政政党としての地位を築いていく。その後、維新の党として政界再編を目指すが、結局、維新の党とおおさか維新の会に分裂した。維新の党は民主党と合流して民進党を形成した。おおさか維新の会は日本維新の会と名称を変えている。「維新」においてはやはり橋下徹氏の存在は非常に大きい。石原慎太郎氏や江田憲司氏、松野頼久氏などの名前もあがるが、基本的に、橋下氏の知名度が党の勢力を強めてきたと言える。橋下氏のメディアでの発言力はパワフルであった。

 さて、現在の日本維新の会は、松井一郎氏(大阪府知事)が代表、片山虎之助氏が共同代表となっている。橋下氏は日本維新の会の法律顧問として残っているだけである。日本維新の会=橋下徹というイメージは強いが、少なくとも形式上は影響力のない状態になっている。

 最近の日本維新の会のメディアでの発信力は相当に落ちている。松井代表がコメントをする場があるが、全国区としての影響力は橋下氏には遠く及ばない。日本維新の会の存在感の低下は否めない状態だ。関西ローカルの政党というイメージがますます強まっている。その関西ローカルでも以前のような圧倒的な勢いは弱まりつつある。9月24日に投開票された堺市長選では、無所属現職の竹山修身氏が地域政党・大阪維新の会新人の永藤英機氏を破り、反維新陣営の連勝となっている。圧倒的知名度と発信力を持っていた橋下氏が陰に隠れると情勢は厳しくなっている。

 今回の衆議院解散総選挙では、橋下氏がまた共同代表になったり、政界復帰をするという橋下待望論もある。しかし、橋下氏は日本維新の会の政治活動とは一線を画するようだ。メディアでの活動、契約もあり、「いきなり衆議院解散総選挙」などには対応できるとは思えない。

 小池新党こと希望の党では、小池百合子都知事が代表につくことが報道されている。こうなると発信力に差が出てくる。前回の衆議院解散総選挙では、日本維新の会は苦戦が伝えられていたが予想以上に議席を獲得した。これは民主党が非自民・反自民も受け皿となれず、こうした票の受け皿の一つになったからといえる。しかし今回は、新たな受け皿として小池新党が立ち上がる。維新に流れていた票の一部は小池新党に流れることになりそうだ。

 日本維新の会は前回以上に厳しい選挙となりそうだ。東京都議選ではわずかに1議席という結果であった。その1議席も最後の最後で決まるという際どいものだった。小選挙区制の衆議院解散総選挙では少なくとも関西地区以外では都議選のような状況になるだろう。また比例代表でも、関西以外で議席を獲得するのは至難の技となる。前回の議席獲得数からは大きく減ることは確かだ。分党した後の現有勢力からもかなり議席を減らすことになりそうだ。

 最近の日本維新の会は安倍自民との連携の方向を強く打ち出している。実際に政策の方向性は安倍自民とそれほど変わらない。少なくとも国政においては自民党と合流ということも視野に入るかも知れない。小池新党という新たな保守政党の誕生によって、日本維新の会の役割は変化することが考えられる。