迫る衆議院解散総選挙~民進党はどうなるのか?

(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 安倍首相がニューヨークから帰国したら、いよいよ衆議院解散総選挙が秒読みにはいる。今回の総選挙で最大の危機に置かれるのが民進党である。自民党は、若干議席を減らす程度の勝利と見る人が多いが、私はむしろ議席を増やす可能性が強いとさえ予想している。小池・若狭新党がどれだけ候補者擁立ができるかにもよるが、基本的に自民党から逃げる票の行き場がないのだ。確かに自民党に対して、期待感が薄れ、批判の声もある。しかし、ではどうすればいいのか、が分からないのだ。結局、「迷った時には現状維持」になりそうな情勢だ。

 公明党は手堅い。自民党との連携によって幾つかの小選挙区に万全の形で候補者を擁立し、比例は安定した票を得るだろう。議席を大きく増やすことも減らすことも考えにくい。

 共産党はプラス要因もマイナス要因もある。安倍自民に対して批判票の受け皿であった民進党ががたがたになっており、バランスをとる意味でも共産党への期待の声がある。ただ、共産党にとっても、気がかりなのは小池・若狭新党の動きだ。自民への反発票のかなりが、民進や共産ではなく、小池・若狭新党に流れる可能性もある。共産は小選挙区ではなかなか勝利できない状況であり、比例で固定票だけでなく、浮動票をどれだけ取れるかが勝負のポイントになる。総合的に衆議院議員21名の現勢力からの大きな変化はないだろう。

 日本維新の会も、大きな変化があるとは思えない。関西地区では安定した得票を誇っている。手堅い選挙になりそうだ。ただ、党の顔といえた橋下徹氏が、党の活動とやや距離を置いていることから、存在感が薄れつつある。また小池都知事に期待する層と重なる部分が大きく、やや劣勢になる傾向は否めない。東京オリンピック問題、築地から豊洲市場への移転問題、都議選など東京を中心とした話題も多かった。大阪への関心が薄れていることもある。

 社民党や自由党はそもそも議席が少ない。その少ない議席さえ、危ないことは、すでに記事に書いた。「迫る衆議院解散総選挙~社民党、自由党はどうなるのか?」なんとか現状維持ができるか、だ。いずれにしても1~2議席の変動であり、大勢にはそれほど影響しない。ただこの衆院選の後にやってくるであろう政界再編に1議席でも多く獲得して影響力を持つことは大切だ。この二つの小党にとって重要な選挙になる。

 最も大きく変動しそうなのが、民進党だ。民進党は政権を失ってから、低支持率に悩まされているが、ここ1年、さらに支持率が下がる傾向にある。政党としての方向性が定まらないことに加えて、蓮舫前代表の二重国籍問題などもイメージを悪化させた。9月に代表選があり、前原新代表の新体制のもとに劣勢を挽回する挑戦を行う予定であった。しかし、前原民進の船出とともに、山尾ショックという嵐が吹き荒れた。前原代表自身も北朝鮮女性との写真が週刊文春に報道され、厳しい状況に置かれている。また党の方向性も、党内融和も考慮することから定まらない。共産党との連携をどうするのか。まだ煮え切らない状態だ。この微妙に時期に、一気に衆議院解散総選挙となると、壊滅的とも言われる敗北になる可能性がある。離党者が次々と出たが、解散までにさらに数人の離党があるかもしれない。

 民進党の現在の衆議院議員数は平成29年9月20日現在で88名である。内訳は、小選挙区40名、比例48名である。離党者がもう数人見込まれ、実際にはもう少し減ることになるだろう。小選挙区では、小池・若狭新党は100~150の選挙区で候補者擁立をするものと予想される。民進党(民主・維新)が小選挙区で勝利した選挙区の多くでバッティングすることになるだろう。こうした厳しい状況で、自民党候補者や小池・若狭新党候補者よりも票数をとることは至難の技となる。また比例でも前回以上に厳しくなる可能性が高い。小選挙区で10名、比例で20名程度になるのではないかと予想する。つまり現在の約3分の1程度に衆議院議員数が減り、自民党、小池・若狭新党、公明党の次にランクされることも十分に考えられる。維新や共産党と4位の座を争うという展開も現実的だ。

 前身の民主党、そして今の民進党は自民党とともに二大政党をつくることを念頭に設立された。そして実際に政権も担った。しかし、この衆議院選挙から日本は二大保守政党をベースとする政局に変わる可能性がある。それに対する第三の勢力として民進リベラルと共産党が中心となる左派グループが活動する形になるかもしれない。全くこれまでとは異なる展開となることが想定されるのだ。民進党は、分裂・合体などを行い、新たな存在感を模索することになるだろう。どこまで勢力を保ち、主導権を握った状態で次の展開を探ることができるかだ。ずるずると方向性を先延ばしにすれば、社民党の二の舞となる可能性もある。

 まだ総選挙までは時間がある。民進党が、この厳しい状況を変えて、議席をあまり減らさないシナリオもないわけではない。どこまで民進党が本気で党の体質を変え、自民党に真っ向から立ち向かえるという姿を見せつけることができるかどうか。あっという間に選挙戦はスタートする。前原代表が次の政界の展開をも見据えながら、どのような戦略でこの総選挙に向かうか。ピンチをチャンスに変えるだけの意地と情熱と構想力をみせてほしい。