衆議院解散、間近との報道~公開討論会や合同個人演説会に注目!

2016年東京都知事選挙 立候補予定者が討論会(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 衆議院解散総選挙が間近に迫っているとの報道がなされている。私も二つの記事で、9月末解散、10月総選挙の可能性について書いている。「一気に浮上した衆院9月解散、10月総選挙~「山尾ショック」が流れを変えた」「解散総選挙へのカウントダウンが始まった~トランプ大統領訪日前か、訪日後か

 私はこうした「いきなり解散」には反対だ。首相が自分の所属政党に有利な時に解散総選挙を行なえる現在の制度に賛成できない。また「いきなり」解散の場合にはどの政党も熟慮した公約を出すことができず、それをベースにした議論も深まることはない。解散から公示までの期間が短く、公開討論会等の開催も難しい。候補者擁立さえ、まともにできていない選挙区があり公示直前にならないと誰が立候補するのか分からない。これでは人、政策を見極めた選挙は不可能に近い。ただルールはルールだ。このルールがある以上、政権与党のトップは自らに有利に解散時期を決めるのは当然だ。自らの政策を実現するために「ルールの中で」一議席でも多く取ろうとするのは当たり前と言える。民主党政権時、不利な時期に野田首相が解散に打って出て政権を失ったことの方が不可解であった。「ルールに問題がある」のであればルールを変えて欲しい。そうでないなら野党も堂々と戦い、政策論争を激しくして欲しい。首相の解散権については憲法に記載されているという主張がある。しかし、憲法で規定されているのは基本的には69条解散だ。日本の歴代首相は、これを7条解散をベースにしたルールを作ってしまったのである。以降2~3年で衆議院は解散するというルールになった。これを基本的に69条解散にすると定めればいいことだ。時の政権は自ら優位なルールを放棄するのだから、ルール変更なんて全く考慮しないできた。少なくともそれくらいは民主党政権時にできなかったのか。。。

 本題に入ろう。このような「いきなり解散」時にどのような政策論争の場が可能か、だ。私は、公開討論会支援のリンカーン・フォーラムで選挙前の公開討論会や合同個人演説会を推進してきた。すでに20年以上、3000件以上の蓄積がある。最近は、青年会議所が積極的にこの公開討論会・合同個人演説会に取り組み、選挙の前には討論会、という方程式が確立されてきた。公開討論会をすれば、政策論争が高まり、日本社会がよくなるというほど簡単なことではないが、少なくとも選挙前には政策についての討論を立候補(予定者)に行ってもらい、それをベースに選挙が行われるというのは基本中の基本のはずだ。

 今回、おそらくありうると言われるいきなりの衆議院解散総選挙は、公開討論会泣かせだ。解散から公示までの期間が極めて短い。公開討論会は公示前までに行うものだから、準備が間に合わない。現在、最も可能性があるといわれるのは、9月28日解散、10月10日公示―同22日投開票だ。解散から公示まで2週間もない。しかも、こうした「いきなり解散」では候補予定者が出揃うのは公示直前となる選挙区も多い。小池新党の動きも注目されているが、小池新党は9月18日現在、設立もされていない。どのような名称になるかさえ、不明だ。おそらく公示の直前に一気に候補者公表ということになるのだろう。民進党の離党議員の選挙区も注目されるが、民進党が刺客を立てるのかどうか、立てる場合には誰なのか、もぎりぎりまで分からないだろう。民進党と共産党を中心とした野党選挙協力もあるかどうかも、最後までわからない可能性が高い。つまり、公示直前まで、立候補者の顔ぶれは揃わない選挙区が多いのだ。

 政策論争といっても、各政党が公約・マニフェストを出すのはおそらく公示直前だろう。これから一気に泥縄式に公約・マニフェストを作っていくことだろう。小池新党にいたっては、これから公示の前までに、新党の名称、新党の構成メンバー、新党の公約・マニフェスト、新党からの立候補者を一気に決めなければならないのだ。

 このようにみていけば、「いきなり解散」の時には公示までの公開討論会は非常に難しいことが分かる。政策もよく分からず、誰が立候補するのかさえ直前まで分からず、政策論争の話もない、というのだ。だから私はこうした権限が首相に与えられていることに異議を唱えている。

 とはいえ、仕方ないこと。どのような善後策があるかだ。私たちは、合同個人演説会を勧めている。これは公示後に行われる「公開討論会」と捉えてもらっていい。内容は、公示前の公開討論会と公示後の合同個人演説会はほとんど同じだ。公示後となると、公職選挙法の定めが適用される。合同個人演説会とは、公職選挙法の定める個人演説会が、複数の候補者の参加のもとに行われるというものだ。討論の内容はむしろ制限されない。公示前には、「清き一票を」といったことは禁句だが、公示後にはそれも問題ない。「私はこういう政策を持ち、こうした政治を行いたい。対抗している候補者とは異なるのだ。だから清き一票を!」と言っても問題ではない。対立候補者の人格批判や虚偽の批判をしない限り、徹底的に政策論争をしてもらえばいい。選挙がさらに近くなっているから、盛り上がりもある。

 今回の選挙のように突発的な選挙には、合同・個人演説会がお薦めなのだ。

理由1 解散から公示までの期間があまりに短く、公示までに公開討論会を開催することが非常に難しい。

理由2 突発的で、公示直前まで候補予定者が決まらないところが多い。

理由3 政党マニフェストを会場で配布できる

理由4 全ての費用が立候補者の均等負担になるので、企画者の費用負担が無い。

     しかも、会場費は立候補者に無料で割り当てられる公営施設を利用できる。

理由5 集客などにかける準備時間をしっかり確保できる。

 まだ衆議院解散が宣言されたわけではないし、公示・投票日も決まっていない。ただ、最短でもまだ投開票日までは1ヶ月以上ある。ぜひ、選挙区の多くで、公開討論会・合同個人演説会を行って欲しい。そして行われるところでは、多くの有権者に聞きに行って欲しい。今回のようなケースには合同個人演説会の方が有効だろう。

 こうした地道な努力が、日本の社会をよくすると思っている。公開討論会・合同個人演説会については、一般社団法人「公開討論会支援リンカーン・フォーラム」のホームページが参考になるだろう。

 日本の未来は、未来像をぶつけ合う討論から始まる。そしてそれを聞き、投票する有権者の1票が決める。