彷徨える民進党~前原民進は生き残りをかけた3補選

(写真:つのだよしお/アフロ)

 民進党の代表選が終わり、まだ2週間も経っていない。代表選も盛り上がらず、誰がなっても厳しい船出であったが、前原民進党には想定以上に厳しい嵐が吹き荒れる状況になっている。

 まずなんといっても「山尾ショック」だ。山尾志桜里元政調会長の不倫疑惑騒動が湧き上がり、山尾氏は民進党の幹事長どころか、離党の選択となり、状況によっては議員辞職に追い込まれる展開となっている。議員の不倫によって、辞職までする必要があるのかという議論はある。不倫はあくまで個人の問題。政治上の利権などに関連した汚職などとは次元が異なる。不倫をしたら辞職、というのはおかしいという論理はある。山尾氏は「不倫をしていますが、これは個人の問題。政治活動は全力で取り組みます」と言いきってしまうことも考えられた。しかしこれだけ状況証拠があるなかで、「不倫はしていない」というのであれば、下世話な関心が高まってしまった。連日、ワイドショーは山尾不倫疑惑を取り上げている。ちょっと前まで、今井絵里子議員の不倫問題が話題になっていたが、マスコミの波の流れは速い。不倫ダメージは自民党から民進党に移動している。

 前原民進党は、いきなりこの問題で躓く形となった。それでなくても、厳しい状況であったが、状況はさらに険しくなった。民主党は誕生してから、国民の期待を受け、順調に発展してきた。一時は政権を奪取したが、失敗に終わり、確かに勢いはなくなった。しかし、民主党、名称変更した民進党の終焉を想定している人は少なかったが、今、その危機が訪れている。

 民進党の議員と話をしてもそれほどの危機感を持っている感じはない。二大政党の仕組みの中で、自民党が失政をすれば、いずれはまた民進党の時代がやってくるという感覚でいる。そうならなくても、ずっと安定した野党第一党の地位は保証されているという感覚は持っているようだ。

 しかし、東京都議選の結果を見れば、現在の民進党が置かれている状況は危機的だということはすぐにわかる。小選挙区制でもない都議選で、獲得した議席はわずかに5議席。壊滅的といってもいい結果だ。都民ファーストの会、自民党、公明党、共産党に続く5番目の勢力でしかなくなっている。とうてい二大政党の一翼を占める政党の勢力ではない。

 民主党・民進党はその成り立ちからして、非自民ということで、それ以外の方向性は明確ではなかった。いわゆる右も左も、小さい政府派も大きい政府派も、親労組派も嫌労組派もすべて混じっていた。安全保障、憲法、増税・減税、社会保障などキーテーマで方向の一致はない状態で運営をしてきた。「合意」できるのは、「安倍自民の進める」政策には全て反対ということであった。とりあえず、現政権の政策には反対であるが、自分たちがどういう方向性を打ち出すのかは曖昧にするしかなかった。

 一回目の政権奪取はそれでも大きな期待感の中で、国民はこれを容認した。「まずは一回、やらせてほしい」という声に閉塞した日本の政治・経済・社会の突破口を期待したのだ。しかしその期待は失望にすぐに変わった。その後を受けての民進党は明確な方向性をもって、より現実的な期待を作り上げる必要がある。

 それができないままに、山尾ショックが起きた。また、前原代表の方向性はまだ明確になっていない。前原代表は党内融和をまずは進めるようで、前原氏に期待された民進党の新たな道案内の役割が果たせるかどうか、不明だ。 

 その中で、さらに離党議員が出そうだ。先に離党した細野元環境大臣が率いていたグループの所属議員が離党届の提出を検討しているという。前原代表のもとで、党勢を巻き返せるかを見守っていたが、今の状態では無理だと判断したようだ。まだ最終決定ではないにしても、おそらく数名は離党しそうだ。

 おそらくこうして離党した議員、離党する議員らは小池新党を作っていきそうだ。小池新党は、10名を超える国会議員で設立される可能性が高い。さらに民進党からの離党や無所属議員の合流も考えられ、ひょっとすると20名近い集団で旗揚げになることも考えられる。

 民進党が二大政党の一翼を担うことはもはや「当然のこと」ではなくなっている。おそらく、日本の政界は、自民党と小池新党の保守勢力による二大政党と共産党を中心とした左翼・リベラルの勢力の3つに収斂されそうだ。

 民進党は生き残りをかけた戦いになる。前原民進党は、明確な路線を打ち出し、「去りたいものは去れ」くらいの強い指導力が求められる。3つの補選は来月だ。今の状況では、民進党の勝利は厳しい。すべて失うなら、一気に衆議院解散総選挙の可能性もある。解党を覚悟しなければならないほどの大敗北の可能性がある。