背水の陣を敷けるか、民進党~盛り上がらない代表選

民進党・蓮舫代表が辞任 都議選敗北で引責、代表選へ(写真:長田洋平/アフロ)

 民進党代表選が近づいている。前原誠司元外相と枝野幸男前幹事長が一騎打ちの様相だ。21日告示・9月1日投開票だから、あっという間に選挙となる。しかし、世間の関心は低い。1年前にも代表選があったが、この時は蓮舫氏がいい意味でも悪い意味でも選挙の核となった。東京都知事選に出馬するか否かで、注目を浴びた。その勢いで代表選に入ったが、ここで二重国籍問題が浮上し、メディアは連日、そちらを取り上げることになった。結局、対抗馬の前原氏や玉木氏の存在感は薄れ、蓮舫氏が圧勝した。しかし、路線論争はほとんどされず、民進党の方向が定まらないままに、蓮舫民進党が誕生することとなった。あれから1年。民進党は支持率が浮上せず、というよりもさらに落ち込み、都議会選挙ではわずかに5議席という屈辱的な大敗となった。しかし、この大敗の結果をみて、0議席でなくて良かったという安堵の雰囲気があったというのは、二大政党の一翼を担うはずの政党としては深刻な問題といえた。

 今回の代表選では、前原氏が保守で、枝野氏がリベラルという位置づけで、保守対リベラルの戦いと言われている。しかし、党内融和を図るためもあってか、両者のトーンはかなり曖昧になっている。代表選でのテーマは、日本国憲法改憲への姿勢、共産党との連携への姿勢、消費税アップへの姿勢、連合との距離、経済政策などが挙げられる。どれもがこれからの民進党の方向を定めるのに重要なテーマだ。特に憲法改正や共産党との連携、消費税増税への姿勢では前原氏と枝野氏では明確な意見の差があるはずだが、党内融和を考えて、かなり曖昧になっている。安倍自民の進める改憲には反対、共産党とは一致できる範囲で協力、まずは無駄遣いのカットで増税はその後に考えること、連合とは協力体制で取り組む、アベノミクスとは異なった経済政策ということで、両者の主張はほぼ一致する形だ。多少のトーンの違いがあるだけだ。これはまさに蓮舫代表がとってきた路線といえる。安倍内閣には厳しい批判はするが、自らの政策はできるだけ曖昧にして、党内の融和を図るという路線である。これでは「批判だけの民進」のイメージを払拭することはできない。蓮舫代表は、何度も「具体的、実践的な代替案を提示する新たなる民進党」の姿をアピールしたが、これが一体何なのかは、よくわからないままであった。言葉とは裏腹に、批判はするが、提案はない、というイメージをさらに強めた感じが残った。

 民進党が再生するにはこのイメージの払拭が必要だ。「民進党は前原氏、枝野氏のどちらが勝ってもノーサイドで、一つのまとまること」ということが強調されている。最初からノーサイドになることを前提にしたような戦いになっている。結局は曖昧な蓮舫路線の継続にしかならないのではないかと見られれている。今の民進党に必要なのは、前原氏と枝野氏とでガチンコの激戦だ。民進党は背水の陣で、生きるか死ぬかの戦いをしているという姿勢が見えないと、生き残りはない。今の曖昧路線では、死ぬか、殺されるかの選択しかない。

 小泉純一郎氏が皆を唖然とさせたのは「自民党をぶっ壊す」というフレーズだった。小泉氏の評価は分かれるかもしれないが、何はともあれ、インパクトは強烈だった。本当に自民党をぶっ壊すのではないかという迫力があった。それによって自民党は生き返ったといえる。

 民進党の展望は明るくない。自民党vs社会党の時代には社会党は自民党の批判をしておけば一定の存在感があった。しかし、日本新党や新生党、それらが混じった新進党などができると、社会党は社民党となり、一気に衰退した。今、民進党(民主党)は似通った道を通る可能性がある。自民党vs民進(民主)党の構図に、小池新党が割り込む可能性が出てきたのだ。都議選は、次期衆議院選の結果を暗示するものになっている。

 民進党がまさに背水の陣で、新たな展開を勝ち得るかどうか。最初からノーサイドを前提にしたぬるい戦いには「背水の陣」という言葉は当てはまらない。民進党はその存在意義そのものが問われているのだ。代表選がどこまで真剣勝負になるのかどうかが、民進党の未来を決めると思っている。