東京都議選、終盤の情勢は?~厳しくなった自民党、伸びる都民ファースト

(ペイレスイメージズ/アフロ)

東京都議会選挙が直前に迫ってきた。終盤の情勢はどうなのか。全選挙区の情勢を踏まえて、動向を考察してみよう。いうまでもなく、今回の都議選は今後の国政にも大きな影響を与えうるものだ。政界再編に繋がる可能性もある。私の6月15日時点での予想「東京都議会選挙、最終予想~都民ファースト47、自民40、公明23、共産11、民進5、ネット1」を基軸に現在の動向をみてみたい。

まずなんといっても自民党への逆風が吹いている。昨年、豊洲市場の地下空洞問題や地下水問題などが浮上したときは自民党は守勢に回っていたが、徐々に体制を固め、都議会第一党の地位を守ると予想する人もかなりいる状態であった。しかし、都議選告示前後で不祥事、失言などが相次ぎ、厳しい状況になっている。自民党候補者の多くは、ボーダー線上にいるとみられ、当選・落選においては「風」の影響が大きい。前回の選挙では余裕を持って当選した自民党候補者が多かったが、今回は状況が一変している。東京都のような大都市では特に浮動票が重要で「風」の影響がそのまま議席に反映されるといっていい。森友学園問題が一段落下かと思えば、加計学園問題が浮上し、現在も注目を集めている。これに「魔の2回生」の不祥事や失言が続いている。「長靴業界はだいぶもうかった」と発言した務台俊介議員、不倫・重婚問題の中川俊直氏、「(がん患者の人に対して)働かなければいい」とヤジを飛ばした大西英夫氏などが注目を集めたが、都議会選告示の直前に豊田真由子衆院議員の元政策秘書への暴行・暴言事件が表に出てきた。インパクトがあるだけに、選挙への影響も大きい。追い打ちをかけるように稲田防衛相の自民党への支援を防衛省、自衛隊として依頼する発言がでた。さらには自民党東京都連会長の下村博文衆議院議員が加計学園から200万円の献金を受けたと、週刊文春が報じた。下村氏は即座に事実無根と反論し、選挙妨害と批判している。確かに選挙直前での記事であり、意図があったとみられてもおかしくない。事実関係は今後明らかにされるのだろうが、結果として自民党に非常に大きなダメージがあることは確かだ。なんといっても選挙を取り仕切る自民党都連会長の問題だ。

ここまでの逆風を予想する人はいなかったのではないか。自民党候補者は1人区のかなりの選挙区で都民ファーストに競り負けそうだ。2人以上の複数区でも逆風の中では共倒れの可能性もある。前回選挙では2人区、3人区でも2議席を獲得するところもあったが、今回はなんとか1議席を確保できるかどうかだ。これまでの選挙では自民党候補者は公明党支援者からの協力を得てきたが、それも今回はない状態で、巻き返しにも勢いがつかない状態だ。人気のある小泉進次郎が応援演説を始めたがカバーしきれる状態ではない。2009年の大敗時の議席、38議席以下になる可能性さえ出てきた。

都民ファーストの会は順風に乗り始めている。5月には築地市場の豊洲移転問題で「決めれない知事」批判が出て、守勢に回っていたが、「築地を守る、豊洲を活かす」という「どちらか」、ではなく「どちらも」を選択するという方向性を打ち出し、強い批判を避けることができた。この二兎を追う案にはいくつもの問題はある。しかし、自民党の不祥事・失言などが相次ぎ、豊洲市場移転問題がかすんだ。小池知事への批判の風が緩み、浮動票のかなりが都民ファースに流れそうだ。繰り返すようだが、都議選においては「風」が決定的に重要だ。推薦候補者からも当選者がかなり出そうな勢いだ。都民ファースト、公明党、生活者ネットワークの小池勢力で過半数とともに、都民ファーストが都議会第一党の地位も確保しそうだ。都民ファーストの会は公認・推薦を合わせると50議席の大台も射程に入ってきた。

公明党はこれまでにない選挙戦で、目標の23人全員当選を果たせるかどうか不安なところだ。公明党には強い組織力があり、危なそうな選挙区に力を注いでいる。自民党候補者と争うところもあり、自民党への逆風によって競り勝つ可能性が高くなっている。

共産党は自民党への逆風で、激戦区で競り勝つところもいくつかでそうだ。都民ファースト対自民党の構図のなかで共産党の存在感がやや薄れた選挙戦となっているが、予想議席数に上乗せができそうだ。

民進党にとってもいくつかの激戦区で競り勝つ可能性がでてきた。といっても勢いはなく、厳しい状況に変わりはない。1~2議席という予想もでていたが、それは避けられそうだ。とはいえ、二桁の議席は難しい。自民党への逆風を活かして、公認候補者の現職数である7議席を確保できるかどうかがポイントになりそうだ。

生活者ネットワークも候補者がボーダーライン上にいて、「風」の行方は重要だ。都民ファーストの会の勢いに飲み込まれそうだったが、存在感をあらわしつつある。

都議会選においては日本維新の会に勢いは感じられないが、自民党への逆風のもとなんとか激戦を制して1議席を確保できるかどうかというところだ。

総じて言えば、自民党への逆風で自民党は苦戦を強いられており、都民ファーストの会が順調に議席を伸ばす勢いとなっているということだ。ほかの政党・会派の勢いに大きな変化はないが、自民党への逆風で1~2議席の上積みが期待できる党・会派があるというところだろう。

自民党が敗北し、都民ファーストの会が公明党との連携で大勝し、民進党が大敗すると、政界再編への可能性も生じてくる。小池新党と公明党が連携するオプションができたことになる。公明党は自民党に対して新たな道の選択肢の可能性を突きつけたことになる。民進党も今のままでは埋没してしまう。民進党と連合の関係も微妙な状態が続いている。連合が民進党の一部とともに新機軸に加わることも考えられる。小池新党、公明党、連合、民進党分裂の一派による政界再編も都議選の結果次第では浮上してくるのだ。

7月2日の選挙結果を待つしかないが、結果によっては新展開もありうる。政界再編も引き起こすかも知れないのが今回の都議選だ。