苦戦の民進党~都議選で大敗の予想

第88回メーデー中央大会にて、小池知事と蓮舫民進党代表(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

東京都議選で、民進党が苦戦を強いられている。民主党・民進党は東京都議会の中ではしばらくの間、自民党と二大勢力となってきた。民主党は2005年の都議選では35議席、2009年の都議選では54議席、2013年の都議選では15議席を獲得している。2009年選挙では自民党が38議席にとどまり、最大会派を形成した。2013年の選挙では、国政における民主党政権が「失敗」のイメージで終わった直後でもあり、大敗となってしまった。今回の都議選は、その「大敗」から復活への道を探る選挙となるはずであった。しかし、今のところ、選挙予想では民進党は2013年選挙以上の大敗が予想されている。0議席や2議席といった極端な予想数字も出ている。私の予想は、民進党は5議席である。(東京都議会選挙、最終予想~都民ファースト47、自民40、公明23、共産11、民進5、ネット1)。小選挙区制であれば、「風」によって極端な勝利や敗北もありうるが、都議会選挙は、各選挙区に1~8人の定員が設けられている選挙だ。1位になれなくても2位になれるなら2人区では議席を獲得できる。3位になれば3人区では議席を獲得できるのだ。しかし、現在の民進党の立候補予定者にはそれらも厳しく、5人区、6人区、8人区などでなんとか議席を獲得できるか、という状態だ。6人区や8人区では都民ファーストの会や自民党は複数候補者を擁立するし、公明党は手堅く議席を獲得する。共産党も都政に対する明確なスタンスを支持する人は多く、民進党に競り勝ちそうな選挙区が多い。民進党は、数年前に政権を担った政党だが、その面影はほとんどなくなりつつある。

2013年の民主党の15議席を確保することはほぼ不可能であり、二桁以上の議席獲得も難しい。一桁の議席数になり、都民ファーストの会、自民党、公明党、共産党の後の第5番目の会派になる可能性が高い。都議選は国政選挙ではないが、豊洲市場移転問題、東京オリンピック、小池知事ブームなどもあり、国民の関心は高い。ここで惨敗となれば、党代表の進退問題にも至るかも知れない。民進党の体制・方向の抜本的な見直しが求められることになりそうだ。

民進党が苦戦するポイントをみてみよう。

1.イメージの低迷

なんといっても政権失敗のイメージはまだ強い。期待が大きかっただけに、その失敗による失望感も大きい。党のイメージ・方向性の刷新が求められるのであるが、明確な方向性が打ち出せていない。蓮舫代表は具体的な提言の政党をアピールするが、多くの人には「反対ばかりの民進党」というイメージが強いままだ。民主党から民進党への名前の変更や岡田代表から蓮舫代表への交代などがひとつのチャンスではあったが、むしろイメージは落ちていく状況になっている。蓮舫氏の二重国籍問題によるイメージダウンもまだ引きずっている。これは民主党・民進党にとって重要な浮動票が離れることを意味する。特に東京都の選挙では浮動票が圧倒的に重要だ。民主党・民進党は新たな政治に期待する浮動票で大きく成長してきた政党だが、今は、この浮動票の多くが離れてしまった。

2.都政でのスタンスの曖昧さ

豊洲市場移転問題や東京オリンピック準備などにおいても、民進党のスタンスは明確には伝わってこない。豊洲市場移転問題では小池知事もまだ明確な方向は示していないが、民進党は判断を促すことはしても自らのスタンスは曖昧だ。安全・安心を確保すること、などを要望するだけでは前には進まない。小池都政との距離感も曖昧なままだ。蓮舫代表が小池知事の東京大改革を支持する言動をしていたが、それであれば、有権者は民進党に票を入れるのではなく、都民ファーストの会に票を入れればいいことになる。国政と一緒で、批判はするが、自らの方向性は曖昧、という状態ではイメージの低迷から抜け出すことは難しい。

3.共産党との連携の問題

共産党との連携も微妙な状況であるが、蓮舫体制では連携をベースに国政を進める方向だ。しかし、今回の都議会選挙では、民進党の最大のライバルは共産党だ。4人区以上の選挙区で共産党候補者と民進党候補者が議席を争う構図がある。共産党との選挙協力はほぼありえないのが都議選の現状だ。民進党は都民ファーストの会とも共産党とも距離感がはかれないでいる。仲間のような、敵のような状態だ。自らの方向性が明確でないことがこうした曖昧さを生み出し、それが悪循環に至っている。

4.連合との距離

これまでの民主党・民進党の選挙では連合の働きは非常に大きいものだった。大都市東京で選挙を行うとなれば、選挙の事務所や体制がしっかりしなければ難しい。よほどの「風」が吹かない限りは、組織の力は重要だ。その連合と現在の蓮舫民進党との間にはすきま風が吹いている。共産党との距離の問題や原発への姿勢の問題などがある。この冷えた関係のもとでは、連合が熱の入った選挙応援をすることはない。連合の幹部や組合員も、感情的にどれだけ選挙に入れ込むことができるかはその時の関係にもよる。現在では非常に限定的な支援となる。

民進党の都議選の候補予定者は若い人材も多い。選挙においては、個人のネットワーク、浮動票を獲得する風、組織力の3つが重要だが、このすべてが不十分な状態のところが多い。「ドブ板選挙」もできず、風は向かい風で、組織にも頼れない。これでは選挙にならない。

民進党は根本的な変革ができるかどうか。都議会選挙は、民進党におそらく来年になるであろう国政選挙の前の教訓を与える選挙となりそうだ。