フランス新大統領にマクロン氏~閉塞感漂うフランスに新たな展望はあるのか?

2017年仏大統領選挙 マクロン氏が勝利(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

フランス新大統領にエマニュエル・マクロン前経済相が決まった。弱冠39歳。若さがみなぎるし、ルックスもいい。期待が集まっている。極右政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン氏が新大統領になったら、フランスのEU離脱も現実的となるし、移民との対立も予想されただけに、マクロン氏の選出にほっとする欧州各国政府や金融市場関係者は少なくない。

しかしフランス経済は極めて厳しい状況にある。失業率は10%前後、特に若年層の失業率は30%近くになる。労働コストが非常に高く、製造業は落ち込む一方だ。パリの街は華やかなイメージがあるが、実態をみると、街は汚れ、沈滞ムードが漂っている。それでも人はパリに憧れるわけで、それがパリの底力だとも言えなくはないのだが。。。

フランス経済を支えてきたのは、軍需産業と金融業といっていい。フランスは世界第3位の武器供給国であり、最先端の技術を誇る。フランスの軍事兵器を担うだけでなく、アラブ首長国連邦、ブラジル、ギリシャ、インド、パキスタン、台湾、シンガポールといった外国にも輸出をしている。また金融業も強い。主要金融機関として、クレディ・アグリコル、BNPパリバ、 アクサ、ソシエテ・ジェネラルがある。日本でも名前の知られる世界的な金融機関だ。マクロン氏自身、投資銀行員としての成功が、現在のチャンスに繋がった。彼はフランスの金融資本主義の勝ち組なのだ。こうした分野ではフランスは世界のトップクラスにあり、生産性も高い。ある意味、「おいしい分野」に特化してきた国だ。

世界のトップクラスの軍需産業、金融産業の一方で、製造業を中心としたその他の産業は停滞していくことになる。これが貧富の差を生み、その格差は拡大している。フランスの労働コストは非常に高く労働効率は低い。ユーロ経済も停滞の兆しの中で、フランス経済浮上の展望は描けていない。失業率、特に若年層失業率が高止まりしている。国民の中には、フランス国内の若年層や低所得層の雇用を移民が奪っているという不満がある。この不満や怒り、閉塞感が、主要政党に属さないマクロン氏やルペン氏の台頭を生んだのだ。

マクロン氏とルペン氏との選択となれば、主要政党支持者は組みすることができるマクロン氏しかいないといえる。彼らは、ルペン氏に独自路線を突き進むリスクを感じたのだ。これが決選投票でのマクロン氏の圧勝に繋がった。

ただ問題は、これからだ。期待は大きくてもフランスの経済低迷は構造的なもので、利権で雁字搦めになっている。改革は容易ではない。

これから注目されるのはフランス国民議会選挙だ。マクロン氏は国民議会選で577の全選挙区で候補者を擁立するとしている。とはいえ、一気にマクロン氏が下院で過半数を確保するのは難しいだろう。おそらく党派を超えた連立形成となるのではないか。改革には主要政党の支持が必要だが簡単には得れないだろう。主要政党の支持を得れば、改革はすぐに頓挫するだろう。主要政党の議員をまとめるだけのリーダーシップが備わっているかどうか。

極めて早い段階で、成果を出さなければ、期待が一気に失望に変わる可能性は高い。待ち受けているのは今回敗れたルペン氏だ。