小池百合子知事と若狭勝衆院議員への処分はどうなる~注目される衆院東京10区補選

小池百合子知事の定例会見(写真:アフロ)

舛添要一氏の辞職から急遽行われた東京都知事選から3週間が経った。現在、議論になっているのが知事に当選した小池百合子氏とその選挙を応援した自民党衆議院議員の若狭勝氏への処分問題だ。小池氏と東京都連の関係もあり、非常に微妙な状況となっている。

そもそも小池氏が党方針に従わず立候補したことがどのくらいの処分にあたるものか、ということがある。小池氏はポスト舛添知事の最有力候補者として話題にのぼっていた人だ。都知事の突然の辞職を受けての選挙となると時間がないのは当然のこと。今回も舛添知事が辞職願を出したのが6月15日で、実際に辞職したのは6月21日だ。知事選の告示日は7月14日で、投開票日が7月31日となった。舛添氏の知事辞職から告示日まではわずかに3週間あまり。その間に立候補者を決めて体制を作らなければならないのだから時間的な無理があるのは当然である。当の擁立の議論を待ってから全てを動かすということは難しい状況である。実際に、自民党が推薦を決めた増田寛也氏が出馬を表明したのは告示日数日前の7月11日だ。増田氏が出馬を見送ったらどうするのだろうか。それくらいぎりぎりの日程だ。小池氏は自民党都連に推薦依頼は出している。一応のプロセスは踏んでいるわけだ。これくらいギリギリのスケジュールでの出馬表明などを考慮すると、普通なら処分にはならないレベルのものだろう。しかし、小池流は東京都連の幹部の逆鱗に触れたようで、その後、感情的な問題にまで発展した。自民党の大臣経験のあるベテラン衆院議員で、東京都連の会長代理であった人が、党の決定が出る前に立候補を表明したことでそれほどの問題になるとは普通は思えない。この知事選は「普通」ではなかったのだ。

自民党の小池知事の処分をめぐっては、様々な要素が入り込んでいる。重い処分は自民党にとってマイナスでしかない状況だ。

まず、オリンピック準備や都政の潤滑な運営の問題がある。東京都は自治体のなかでも特別なポジションと影響力を持っている。しかもオリンピックの準備を考えると都知事との摩擦・対立は避けたい。除名などの処分を下すと、小池知事は自民党との関係が弱くなり、むしろ自由な采配ができるようになる。政府の決定に堂々と反対していくことができるようになる。知事のリコールはほぼ無理だし、議会の不信任決議も議会解散をされてしまうだろう。再選挙しても小池氏が当選するのは目に見えている。少なくとも8年間は自民党は小池都政と協力しながらやっていかなければならないのだ。 

もっと下世話に選挙の問題がある。まずは衆院東京10区補選だ。10月23日に実施されるとみられている。この選挙区は2005年の小泉郵政解散総選挙から小池氏の選挙区となっている。2009年の選挙で民主党候補者に競り負けたがその時も比例復活している。10年以上当選しているのだ。知事になった今、補欠選挙では小池知事の推薦は当確に近いくらいの重さがある。小池氏と若狭氏の処分は連動すると考えられるので、両者が処分となった場合、若狭氏が補選に立候補する可能性がある。圧勝となるだろう。若狭氏が無所属で衆議院に残り、別の候補者を擁立して、小池新党の衆議院議員を2名にするという手もある。超秘策は、維新との連携で橋下徹氏の擁立だ。橋下氏の今後は明確ではない。もし国政に挑戦するというなら、絶好の機会だ。橋下氏は日本における地方自治の問題は国政にあり、という認識もあるだろう。こうした事態になれば、日本全体の政局が大きく動くことになる。

来年の6月には東京都議会選挙が行われる。もうそろそろ選挙の準備が始まる。小池氏や若狭氏の処分が決まれば、少なくとも都議会選挙において小池新党は出てくるだろう。小泉元首相の刺客戦略的に各選挙区に候補者を擁立することが可能だ。都議会内与党勢力を増やすことは小池知事にとって重要な課題だ。自民党の議員数は大幅に減る可能性がある。選挙前に自民党都連が小池派と反小池派に分裂する可能性もある。

いつになるかは分からないが衆議院選挙のことも想定しなければならない。東京都知事が反対勢力に回ると、自民党議員も選挙は厳しくなる。東京は浮動票が多い。自民都連側の反小池勢力とみられると、逆風が吹く可能性がある。第3極の行方次第では、維新・小池新党が刺客候補者を擁立することも考えられる。急にリスクが高まった。

いまさらではあるが、都知事選は小池氏擁立でまとまっておけばよかったのに、という声がでる事態だ。東京都連は小池氏や若狭氏への厳しい処分を要求するが、その場合に最も打撃を受けそうなのが東京都連の議員という皮肉な現実がある。小池知事がリオから帰国してから情勢は動くものと思われる。どうなるか、注目だ。日本の今後の政局の展開にも大きな影響が出るかもしれない。