流れは舛添前知事バッシングから都議会バッシングへ~自治体改革の本丸

(写真:アフロ)

舛添要一前知事のバッシングニュースが毎日流れた。舛添氏の「sekoi」は世界にまで発信されるほどであった。しかし、舛添氏が辞職を表明し、知事選が始まると舛添報道はほぼピタリと止まり、今では舛添問題は過去の問題とされた感がある。確かにセコイという感はあるにせよ、セコイだけにそれで政治的に大きな問題があるようなものでもなかった。むしろ舛添氏の対応のまずさと人望のなさが問題を大きくさせたといえる。

東京都知事選では小池百合子氏が圧勝し、新都知事となった。都知事選の頃から、舛添問題は東京都議会問題へと変わってきた。舛添前知事にも問題はあったが、東京都議会の方がもっと深刻な問題を抱えているのではないか、というのである。日本の自治体議員の環境は大きく変わっている。ほとんどの自治体は財政難に苦しみ、議員の数も報酬も相当にカットされた。小さな自治体に至っては、あまりに条件が悪いので議員の立候補者の確保に苦労するほどになった。また住民のチェックも以前とは比べ物にならないくらい厳しくなった。政務調査費(活動費)はかつては議員の第二の報酬と呼ばれたものである。以前は領収書の提出も求めない自治体が多く、税金もかからないので、報酬以上に重宝された。しかし、最近は領収書の提出と公開が一般的となり、号泣き釈明会見をした野々村竜太郎議員のようなケースがでてくるのだ。以前の仕組みなら問題にもされなかったケースだ。

財政的には大都市にはまだ余裕がある。しかし、大阪府・大阪市には橋下氏が登場し、議員の特権を厳しく制限した。名古屋市では河村市長が登場した。議員報酬をほぼ半額の800万円にするなど大きな改革を行った。名古屋市の場合にはその後、河村市長率いる減税なごやの議員の不祥事が相次ぎ、かなり微妙な状況には陥った。その後、議員報酬は655万円アップし、1455万円になっている。ただ市民のチェックは厳しいままで、政務活動費はかつての第二の報酬とは全く異なっている。

かなりの盲点となっていたのが東京都であった。東京都議会は自民党東京都連をベースにしっかりとした基盤が作られており、安定した組織を形成していた。これは利権構造を生む体制ともいえる。強引な運営で知られる石原慎太郎元都知事でさえ、都議会には相当な配慮をしなければならなかったと言われる。舛添知事時代には、舛添知事の提案はほとんど都議会で承認されている。議会のチェック機能が破綻し、その分、都議・都議会の利権構造が保全されたといえる。

東京都知事選で、こうした都議会の問題が少しずつ明らかになってきた。都議会のドンと称せられた内田議員の問題も週刊誌などで取り上げられた。8月13日付の毎日新聞は、東京都議会自民党が業界団体との交流名目で設置し、会計報告が対外的に公表されていない研究会の会費の8割に、税金を原資とする政務活動費(政活費)が充てられていたことを報じている。東京都議員の政務活動費は月60万円である。政務活動費の使用目的は限定されるので、実際には60万円を使うのはかなり厳しい。結局、様々な名目で流用したり、プールしたりすることになるのだが、研究会会費はこの一つではないかというのである。

東京都の予算はスウェーデンの国家予算に匹敵するといわれる。それだけ巨額な予算を扱う議会である。ちなみにスウェーデンの政治環境は不正に非常に厳格だ。議員の報酬も驚く程低い。スウェーデンの国会議員の報酬でさえ東京都議の報酬の半分程度だ。スウェーデンの重い税負担からすると手取りは都議の半額以下になるのではないか。

地方自治体の中ではガラパゴスのように古い体質が残った東京都議会。今やっと、そこにもメスが入ろうとしている。舛添問題の本丸に入りつつあると言っていいのかもしれない。