蓮舫氏が圧倒的に優勢な民進党代表選~民進党の方向性は定まるのか

(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

民進党は大きな転機に差し掛かっている。この転機を活かすことができるのか、できないのか。民進党代表の岡田克也氏は都知事選の直前に民進党の代表選に出馬しないことを発表した。参議院選挙、都知事選挙を民共の選挙連携で戦った。結果は成功とも失敗とも言えない微妙なものであった。それだけに民共連携路線を引き継ぐのか、引き継がないのか、も含めて注目される状況だ。

蓮舫氏はすでに出馬を表明していて、推薦人に確保も今回は余裕で出来そうだ。問題は、対抗馬だ。名前が挙がっているのは、長島昭久氏、玉木雄一郎氏、前原誠司氏、細野豪志氏である。細野氏はすでに出馬を見送り、蓮舫氏を支える形になりつつある。長島氏、玉木氏、前原氏などで調整し、一本化の上で、蓮舫氏に対抗するというシナリオはある。ただ、現状では岡田代表の支持も受けている蓮舫氏が圧倒的に優勢で、対抗馬なしの無投票決着という可能性もある。

民進党の代表選は党所属の現職国会議員・国政選挙の党公認予定候補者・党所属の地方自治体議員・党員およびサポーターが投票権を持つ。1人1票で決定するのではなく、独特のポイント制で争われる。現職国会議員は1票が2ポイント、国政選挙の党公認予定候補者は1ポイント、党所属の地方自治体議員は比例代表ドント方式で配分される。党員・サポーターは各代表候補者の得票数に応じて当該都道府県に配分されたポイントをドント方式によって配分される。

重要なのは、現職国会議員だけで決められるものではないということだ。カテゴリーごとに民共選挙連携や個人的な人気などで考察してみよう。

A.民共選挙連携

民共選挙連携に関しては、政治家は選挙制度によって推進・反推進の傾向がある。衆議院選挙は基本が小選挙区なので、野党の選挙連携があった方が戦いやすいことは確かだろう。参議院は選挙区の1人区では野党協力がプラスに働くと予想されるが、2人以上の選挙区だと、共産党などの他の野党とも戦うことになる。選挙連携をして独自性がわかりにくくなるよりも、独自の政策を掲げて戦いたいと考える人が多いだろう。全国比例では選挙連携はほとんど意味をなさない。独自性を主張できるほうがいいだろう。地方自治体議員にとっては他の野党の候補者はライバルである。激しく戦わなければならない。選挙連携はほとんど意味をなさない。

B.党首の人気

票という点では、党員やサポーターはかなり党首の知名度や人気に左右される。現在のところ、知名度では圧倒的に蓮舫氏だ。前原氏や細野氏も一時はかなりの知名度や人気があったが、最近はやや党の端の方にいる感じで、それほどメディアにも登場していない。蓮舫氏が優勢だ。

このように考えると、多少のばらつきはあるものの、蓮舫氏が圧倒的に有利な状況だ。対抗馬なしの無投票決着となるか、圧倒的な差で蓮舫氏が勝つか、という感じになりそうだ。問題はこれでいいのか、だ。

民進党は根本的な問題を抱えている。それは様々な経緯で集まった政治家であるために、政策方向、イデオロギーなどの幅が非常に広いことだ。これに加えて、共産党との選挙連携も考慮すると、方向性をどのようにするのか、曖昧な状況が続いている。右から左まで、現実主義から理想主義まで、いろいろな人が入っている。それが、民主党・民進党の強みだ、という人もいるが、政党とはそういうものでないはずだ。主要政策課題に対して、明確な姿勢を示せないのでは政権を狙う野党とはいえない。

TPPを推進する人も反対する人もいる。消費税増税を推進する人も反対する人もいる。憲法改正に賛成の人も反対の人もいる。集団的自衛権に賛成の人も反対の人もいる。この状況では明確な路線が打ち出せない。参議院選挙では、「自民党が進める」TPPには反対、「自民党が進める」消費税増税には反対、「自民党が進める」憲法改正には反対、「自民党が進める」集団的自衛権には反対、というポジションであった。しかしこれでは旧社会党のように「反対勢力」にしかならない。消費税増税やTPPなどは民主党も加わって三党合意で決めたはずだ。

共産党はこれらには一貫して反対の姿勢だ。こうなると、党の方針としても曖昧、選挙になると選挙連携もあり、さらに曖昧というスタンスになってしまう。

選挙の前にはどうしてもいろいろな妥協をするのは仕方ない。それも政治の姿だ。しかし参議院選挙が終わった今、民進党は分裂のリスクをとってでも、こうした核心的な党の方向性について大議論をして定めるべきだと考える。今回の代表選は絶好の機会だ。5名や10名が離党することになっても仕方ないと腹をくくって党の方向性を決める。その方向性では共産党との選挙連携ができないのなら、選挙連携の方を諦める。できるようなら、共産党とも政策の協議を進める。こういったことができるチャンスがやってきている。

蓮舫氏の圧勝、無投票当選ということになって、そうした作業が行われないままに党内融和が優先されると、結局、民進党は方向の見えない政党になりそうだ。「民」が「進」む党だという。それはいいことだ。だが、どこに進むのかがわからないと、国民から大きな支援を受けることはないだろう。融和より論争を期待したい。