第3次安倍再改造内閣が発足へ~憲法改正を意識した安定とバランスの新内閣

(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

第3次安倍改造内閣が発表された。一言で言えば継続とバランスの中に、安倍首相的方向性がみてとれる布陣である。憲法改正に向かう長期政権を意図したものと思える。

注目される点を考察してみる。

1. 継続とバランス

基本的にこれまでも安倍内閣はバランスを重視している。それほど大きなサプライズがないのが安倍流といえる。この安定感とバランスが安倍政権を長期政権にしている一要因だ。

主要閣僚の多くは留任している。麻生太郎副総理兼財務大臣、高市早苗総務大臣、岸田文雄外務大臣、塩崎恭久厚生労働大臣、公明党の石井啓一国土交通大臣、菅義偉官房長官、石原伸晃経済再生担当大臣が留任している。

自民党の役員人事では、谷垣幹事長に後任として幹事長に二階俊博氏、総務会長に細田博之氏、政務調査会長に茂木敏充氏、選挙対策委員長に古屋圭司氏とし、高村正彦副総裁は再任された。かなりの重鎮を並べた感がある。挑戦的な布陣というよりもバランス・安定を重視した布陣だ。

世界経済の雲行きも怪しく、日本経済もこれから苦戦が予想される。その中で憲法改正を試みるのだろうから、内閣人事、党内人事では安定とバランスが優先されたとみていいだろう。

2. 防衛大臣に稲田氏

なんといっても注目人事は稲田朋美氏の防衛大臣への任用だ。安倍首相が稲田氏を重用していることはこれまでも話題になった。アジア情勢が不安定な中で防衛大臣の役割は重くなっている。安倍首相と防衛政策の近い稲田氏の起用となった。ただ、すでに中国や韓国はこの人事に警戒感を持っている。稲田氏の防衛大臣としての発言は中国や韓国からは特別な注目を集めそうだ。

この人事は、ポスト安倍の稲田氏の後継者指名を匂わせるものでもある。ポスト安倍競争では、入閣を固辞した石破氏、岸田氏、稲田氏の三人が有力視されている。稲田氏が半歩先行している感がある。

稲田氏の重要ポストの任用は安倍首相の憲法改正への強い思いのあらわれでもあるだろう。安倍内閣中になんとしても憲法改正をしたいという思いがあり、そのための布陣ともいえる。安倍内閣中に達成できないとしても、思いを受け継ぐ稲田氏のもとで達成するという保険の意味もありそうだ。

3. 丸川氏の五輪担当大臣の任用

東京都知事選は自民党が推薦した増田氏が敗れ、小池百合子氏が当選した。安倍内閣としては、東京五輪に関して東京都の新知事の小池百合子氏との関係を上手く保つことは重要なことだ。丸川珠代氏は東京選挙区選出の参議院議員であり、当然のことながら、小池氏には過去の選挙で応援演説に来てもらっている。恩もあるし、次の2019年の選挙のことも考えると、小池都知事との関係をいい状態で保っておきたい状況だ。小池氏にとっても丸川氏は自民党執行部とのパイプとなりうる。数少ない女性議員という繋がりもある。五輪担当大臣も女性議員、五輪開催都市の知事も女性となると、話題性もある。オリンピックの成功のためという大義をつけて、丸川氏が安倍内閣と小池氏の間に入る形ができる。

石原伸晃経済再生担当大臣は留任だ。これは東京都知事選はあくまでも自民党東京都連の問題であり、石原氏は東京都連では責任をとるが、内閣では関係ないというメッセージといえる。妥当だ。逆に外したら党内でわだかまりが生まれただろう。

4. 長期政権の予感

今回の内閣改造をみると、安倍首相は奇をてらわず、安定した政権を目指したように思える。となると、噂されている年内解散総選挙はないのではないかと思う。まだ衆議院議員の任期は2年以上ある。そして今の状態であれば、衆議院も参議院も改憲勢力は3分の2以上確保できている。おそらく2年間持続できる内閣を作り、この内閣で憲法改正まで持っていこうというのではないか。

自民党総裁の任期があと2年、衆議院議員の任期が2年余り、消費税増税までがあと2年である。この2年が日本の未来を大きく変えることになりそうだ。