小池新知事は東京都議会とやっていけるのか

(写真:吉澤菜穂/アフロ)

小池百合子東京都知事が誕生した。これまでにも女性の府県の知事は誕生している。大阪府の太田房江知事に始まり、熊本県の潮谷義子知事、千葉県の堂本暁子知事、北海道の高橋はるみ知事、滋賀県の嘉田由紀子知事、山形県の吉村美栄子知事と続いた。現在も現役知事なのは高橋知事と吉村知事である。東京はやはり日本の首都であり、影響力が大きい。東京オリンピックを控えていることもあり、注目度は高い。女性の都知事は初めてとなる。

さて、小池知事が問題となるのは、都議会対応と言われる。舛添前知事は都議会とは問題なくやってきた。それが今では逆に問題視されているくらいだ。つまり舛添前知事が提案するものは議会はすべて可決させてきた。チェック機能があるのかどうか疑われるレベルであった。反旗を翻したのは舛添前知事の最後の時だけだ。舛添氏が「裏切られた」と感じるのもおかしくない。お互いにやりやすいズブズブの関係を築いてきたといえる。

東京都議会では自民党が圧倒的多数である。都知事選と同時に行われた補選でも4つもポジションすべてを自民党候補者が獲得した。127議席中、自由民主党 60(うち女性3)人、公明党 23(うち女性3)人、日本共産党 17(うち女性11)人、民進党 14人、民進党都議団 4(うち女性2)人、かがやけ Tokyo 3(うち女性1)人、生活者ネットワーク 3(うち女性3)人、無所属(深呼吸のできる東京)1(うち女性1)人、無所属(東京みんなの改革) 1(うち女性1)人、無所属(東京維新の会) 1人となっている。自民党が過半数近くを占め、公明党を入れると、3分の2近くなる。自民党と公明党は増田氏を推薦して都知事選を戦ったのだから、小池都政では野党になる存在だ。民進党や共産党は鳥越氏を応援した。ほとんどが野党になってもおかしくない。特に自民党東京都連とは激しいやりとりもあった。都議会がまともに機能しなくなるのではないかという不安を持つ人は多い。

しかし、小池知事にとって幾つかの追い風がある。私は非常に早い段階で小池知事は議会との関係をぎくしゃくしない普通の関係にしてしまうのではないかと考えている。

1.小池氏の圧勝

小池氏と増田氏、鳥越氏との票差ががかなりあった。小池氏が圧勝だ。こうなると小池氏に歯向かうことは都民の意思に反するととられかねない。小池知事の提案に反対するのも相当な吟味をしてからとなる。自民党本部も、小池氏と手打ちをしなければならない状態になった。小池氏に処罰がなければ、自民党の都議会議員も小池派になることを妨げられない。一気に状況は変わる。

2.来年の都議会選挙

実際にはこれが一番大きな要因になる。秋になると都議会議員は選挙を意識した行動をとらざるを得なくなる。確かに3年前の選挙では自民党は圧勝したが、来年の都議会選挙はあの時とは異なると予想される。特に小池氏に反対するグループは、守旧派・利権派というイメージが付く可能性がある。自民党都議連内ですでに小池知事派と反小池知事派とで分かれる可能性が指摘されている。小池派もかなりになりそうだ。都議会選挙が終わると、さらに状況は小池知事に有利になりそうだ。

3.内田氏の影響力の低下

この都知事選で都議会のドンと言われた内田氏は相当に叩かれた。鳥越氏と同じくらいのダメージ、見方によっては鳥越氏以上のダメージを受けた。内田氏の年齢からすると、来年の都議会選挙は厳しそうだ。引退も考えられる。絶対的な権限を持っていたと言われるが、影響力は大きく低下するだろう。それに反して、小池氏の露出は大きくなるばかりだ。

4.リオ・オリンピック/東京オリンピック

舛添氏が行いたかったリオオリンピックの閉会式での五輪旗を受け取るセレモニーは小池知事が行うことになる。世界が注目する。特に女性都知事だけに関心が高い。人気度はさらに上がる可能性がある。それに東京オリンピックが4年後に控える。東京都知事の影響力は非常に高くなる。

5.「維新」や民進党反主流との連携の可能性

ここにきて新たな可能性がでてきた。おおさか維新の会が名称を変更する予定だ。おそらく日本維新の会になると思われる。日本維新の会でなくても「おおさか」の文字はなくなるはずだ。そうなると、小池氏を中心としたグループは「維新」との連携が可能になる。これは潜在力のある勢力になる。第3極を求める声は強い。小池氏は自民党を離れても「維新」と連携する選択肢を得たことになる。小池氏の選挙活動に名古屋の河村市長も駆けつけた。東京、大阪、名古屋が連携するとなるとかなりのインパクトがある。

このように考えた上で、現在の会派勢力を冷静に考えてみよう。

確かに自由民主党 60人は多いが、ここは小池派と反小池派に分裂する可能性がある。小池氏と一緒に活動したり、選挙活動をしたりした議員も少なくない。増田氏とはほとんど接点がなかった人である。来年の都議選のことも考慮すると、小池氏との距離を縮めていたほうがいいと考える議員はかなりいそうだ。公明党議員も小池氏に反旗を翻す必要性は感じていない。自民党の内部抗争に巻き込まれただけという感覚はあるだろう。小池氏が反公明党ということはない。反対勢力になる必然性はなにもないのだ。日本共産党は政治イデオロギー的にはやや難しさがあるが、議員17人の内女性が11人という状況に注目したい。女性の社会進出や子育て支援などでは十分協力できる関係ができるだろう。 民進党 勢力にとって、あまり小池知事にあまりわだかまりはなりだろう。特に自民党都連に小池知事を好ましく思わない勢力があれば、小池知事と協力して、「自民党的体質」をぶっ壊そう、という動きにでることもありえる。かがやけ Tokyoは身内的な存在であるし、生活者ネットワーク や無所属議員とは敵対関係にはならないだろう。このように考えると、反小池知事勢力は自民党の都議の一部だけになる可能性が高い。それも来年の選挙で少なくなる可能性がある。

小池新知事は非常に強い立場から都政を運営できそうだ。

リスクはある。猪瀬氏、舛添氏も受けたスキャンダルの洗礼だ。非常に強く小池氏を嫌がる人もいる。注目度も高い。文春によるスキャンダルすっぱ抜きの可能性は残る。新潮も頑張るかも知れない。このリスクをクリアできれば、小池知事は非常に強い知事になりそうだ。