東京都知事選はスキャンダル選挙の様相

(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

今回の東京都知事選は、舛添前知事のスキャンダルによる辞職を受けてのものだ。その舛添前知事も猪瀬元知事のスキャンダルによる辞職を受けての選出だったわけで、特異な状況が続いている。そしてこの都知事選ではスキャンダルの嵐が吹き荒れ、大きく揺れている。政策そっちのけのスキャンダル選挙という様相をなしてきた。

国政選挙は殆どの場合、全国一斉に行われる。同時に行われる選挙の数が多いので、関心は散らばる。今年の参議院選挙では最終的な候補者数は、選挙区(改選数73)225人、比例区(改選数48)164人の計389人である。衆議院選挙はさらに候補者数が多く、2014年選挙では、小選挙区で959人、比例で841人となっている。実際には重複立候補があるのでそれを抜くと、1191人の立候補者数である。候補者のスキャンダルは全国区的なニュースになりにくい状態になる。

自治体選挙となると、スキャンダルは重要な要素になるが、ほとんどのケースが地域ニュースにしかならない。全国メディアが追いかけるようなニュースバリューがあることは稀なのだ。東京都知事選だけは例外的な価値を持つ。浮動票が多いので、これまでの都知事をみても、全国的にも名が知られて人の名前が並ぶ。青島幸男氏、石原慎太郎氏、猪瀬直樹氏、舛添要一氏はいずれも全国的に知名度が高い人だ。今回の都知事選でも主要と言われる立候補者はすべて全国的にも知名度がある人だ。小池百合子氏、鳥越俊太郎氏、増田寛也氏は著名な方々だ。それだけニュースバリューがある。また東京都は巨大都市で、日本の首都であり、4年後にオリンピックを開催する。地域ニュース扱いではなくメジャー選挙として扱われる。これが参議院選挙と同時選挙となっていたらまた状況は変わっていただろうが、単独選挙となったために嫌がおうでも全国からの関心が高まる選挙となった。しかも舛添前知事のニュースがあまりにはでに扱われたので、その余韻もあり、特別な関心が高まるものとなった。

選挙に出るとスキャンダル探しにあうというスタイルができつつある。これが定着すると、選挙を避ける有力者も多くなる。叩いて全くホコリがでない政治家はどのくらいいるのだろうか。そして現在は私的生活の部分にまでスキャンダル報道は枠を広げている。聖人君子のような人でなければ政治家になれない、というのも行き過ぎのように思える。政治家になれるのはガンジーくらいしか残らない。厳格に調べたら日本には政治家はいなくなるのではないかと危惧するくらいだ。政治に直接関係するスキャンダルとかなり私的なスキャンダルがある。舛添氏の場合にもこれらが一緒にされながら報道が続いた。なんらかの報道基準が必要なようには思う。ここらは今後、考えていく必要があるだろう。ネット社会になり、スキャンダルの影響力はますます大きくなっている。選挙においてスキャンダル対策は非常に重要な要素になっている。

この都知事選で傷ついた人はかなりいる。まず筆頭は鳥越俊太郎氏だろう。週刊文春が女性スキャンダルをとりあげ、かなり深刻なダメージを負った。これがどこまで真実なのかは、わからない。鳥越氏は完全に否定している。しかし、都民に対しての事情説明は少なく、グレーなイメージがついたことは確かだ。また増田寛也氏も、スキャンダルと言えるかどうかは別にして、東京電力との密接な関係や岩手県知事時代の知事としてのファーストクラスの使用や財政悪化をもたらしたことなどで批判を受けた。小池百合子氏も政治資金の使い方などで厳しい批判を受けた。

番外編ながら重要なのは、東京都議会のドンとして知られ、増田氏を支援しているといわれる内田茂氏のスキャンダル報道だ。彼が役員として勤める会社に、複数の東京オリンピックの施設工事を受注していたことが報道されている。また自殺した樺山卓司都議を追い込んだのは内田茂氏であるという報道もでた。鳥越氏の次にスキャンダルのダメージが大きいのは内田氏かもしれない。

またスキャンダルとは言えないものの立候補の可能性を語った石田純一氏もかなりのダメージを負った。未だにテレビ番組に出演できないし、出演CMも停止された。賠償金もかなりになるといわれる。それ以上に、今後のテレビ出演やCMのオファーが減ることが考えられる。山本太郎氏は、芸能界から飛び出して、一気に政界に飛び込んだ。石田氏も中途半端な選択は許されないだろう。