水で栄えた中国が水に苦悩する~減少し、汚染される地下水

(写真:ロイター/アフロ)

世界四大文明としてあげられるのは、メソポタミア文明、エジプト文明、インダス文明、中国文明である。そのどれもが大河の近くで誕生し、発展した。メソポタミア文明にはチグリス川とユーフラテス川、エジプト文明にはナイル川、インダス文明にはインダス川、中国文明には黄河、長江があった。水は人間の活動にはなくてはならないもの。水とともに文明は発展してきたのである。

この四大文明の一つの地域である中国で、「水」が問題となっている。CNN香港(2016年6月27日)は「中国の北京で地盤沈下が進み、最も被害が大きい地区では年間11センチも沈下していることが27日までに分かった。中国を拠点とする国際調査団が調査結果を発表した。沈下の原因は地下水の枯渇にあると指摘している。 」と報じている。北京では、工業用水や生活用水の3分の2を地下水でまかなっているという。中国全体でも3分の1を地下水でまかなっている。つまり、中国では地下水は重要な水の供給源なのである。

中国は国全体で見ると、水資源総量は 23258.5億m3 (2011年現在)で大きく、 世界の第4位に位置する。しかし中国の人口は大きく、全国の1人当たりの水資源量では1730.4m3となり少ない。これは世界的にも非常に少ない方に入る。しかも、水資源は地域によって偏っている。一般的に、北西にあたる東北地域や華北地域、西北地域は乏しい。北京は華北地域に入っている。中南・華南地域や西南地域は豊富である。そして困ったことに、水資源が少なくなる傾向にあるのに対して、水の使用量は増えている。特に中国の北西においては、慢性的な水不足が問題化しているのである。

工業化のためには水の大量消費が必要になる。洗ったり、冷やしたり、様々な用途に使われる。水をあまり使わない産業はサービス業など一部である。経済発展を遂げた中国は大量の水を消費する国にもなったのである。また、家庭においても大きな変化が起きている。トイレが水洗化した。中国では今でも田舎では昔ながらのぼっとん型のニーハオトイレがあり、話題になるが、都市部では水洗化した。中国トイレ革命である。当然のことながら水の消費量は高まる。また清潔を保つことが求められるようになった。風呂やシャワーの回数は増えるし、洗濯の回数も増える。日本でもヨーロッパでもそうだが、以前は洗濯はあまりしなかったのである。それが毎日のように選択をするようになった。中国もその流れがきている。水の消費は文化的生活を保つのに不可欠なのだ。

また全体的な水資源不足は中国の砂漠化を進めている。昨年は河南省、吉林省などで大干ばつが発生した。水問題は中国の最大の問題ともなりつつある。

中国が苦悩しているのは、水の量だけではない。水の質が極度に悪化しているのである。2016年1月、中国水利部が公表した『地下水動態月報』によると、2015年に東北の松遼平原や内陸部の江漢平原などにある約2103の井戸に対して水質観測調査を行ったところ、地下水の8割が深刻な汚染で飲めないレベルであるという。特に中国の水の乏しい地域では地下水の汚染が深刻であるという。

よく中国の川の水の色が変わるほどの汚染の写真が見られる。ただ、川の場合は対策をとれば、比較的短期間に浄化できる。中国の川は日本の川よりも流れるスピードが遅いので、日本よりは時間がかかるだろうが、それでも流れる水の浄化は可能だ。地下水が広域に汚染されると浄化は非常に難しい。中国の場合は、土壌汚染と一体化した問題だ。 工場排水を地下に流し込んだり、産業廃棄物を地下に埋めたりしている。中国の水汚染は、大腸菌型だけでなく、重金属型でもある。深刻だ。

まずは、これ以上、地下水を汚さないことが大切だ。汚れた排水を浄化させて、再利用できる仕組みを作ることが必要だ。また汚染された地下水を浄化し、「使える」水としてキープすることも考えなくてはならない。節水の技術も求められる。

日本は水には敏感であった。安全で清潔な水は当然のもととして文化に溶け込んだ。それだけに日本の浄水技術は世界でもトップクラスである。 節水技術もトップレベルだ。この分野での日中の協力は可能だ。将来的には水資源が経済の発展の最大の要件になるだろう。日本は水の分野での最重要技術を持っている。水による共栄ができれば素晴らしい。