ペルー大統領選~後に尾を引くかも知れない大接戦

投票するケイコ・フジモリ氏(写真:ロイター/アフロ)

 ペルー大統領選挙が超接戦のままになっている。開票発表が止まった。

 現在発表されているのは、開票率94.2%の時点でのもの。クチンスキー氏が50.28%に対して、ケイコ・フジモリ氏は49.72%となっている。この二人の差はわずかに0.56ポイント。

 現地の専門家には、開票の残りは5.8%分しかないので、クチンスキー氏が逃げ切ると予想しているものもある。ただそう断言できない要素もある。

 今から開く主な票は、地方票、特に辺境からの票と海外在住者の票である。ここではフジモリ氏の方がやや有利と見られている。残りの票でフジモリ氏が55%、クチンスキー氏が45%となれば、ほぼ同じになる。全くわからない。

 さらに疑問票が、開票率94.2%時点で1.6%あるという。この扱いによっては一気に逆転がありうる。こうした疑問票の場合にはパターンがあって、ルールを決めるとかなりの票が動くことがある。これくらいの接戦になると疑問票の解釈で勝敗が動くこともある。こうなるともう数日、結果発表にかかる可能性がある。

 50.1%と49.9%で勝敗が決まるというような事態も十分に考えられる。あまりに接戦であれば、裁判になることさえ想定される。

 クチンスキー氏が当選した場合、まず重要なのはクチンスキー側の「和」である。政策的にはむしろクチンスキー氏とフジモリ氏の方が近い。どちらもオープン経済政策だ。しかし、クチンスキー氏は選挙戦を戦うために反フジモリ氏陣営をまとめる必要があった。第一回の大統領選挙で3位になったのはメンドーサ氏。彼女は左派に属し、政策的にはかなり遠い。つまりクチンスキー氏は反フジモリ氏の寄せ集め集団である。アルベルト・フジモリ氏の独裁的なイメージに対抗する集団の集まりであり、実際の政策の合意はない。

 そして、ケイコ・フジモリ氏とも「和」を結ぶ必要がある。勝利してもほぼ半数の人はケイコ・フジモリ氏を支持したことになる。そして議会はケイコ・フジモリ氏の人民勢力党が多数を占める。フジモリ氏との協調なしにはスムーズな政権運営はできない。しかし、選挙でクチンスキー氏は相当にフジモリ氏を批判した。正確には彼女の父アルベルト・フジモリ氏を批判した。かなりしこりは残りそうだ。

 経済面でも不安が残る。ペルーは2014年まで好調な経済成長を行った。豊富な資源は世界経済の発展とともに価値を高めた。しかしその後、資源の価格が下がり、やや厳しい状況だ。ブラジルほどのことはなく、まだ堅調といえるが、状況によっては時差で不況がやってくる可能性もある。TPPなどで新たな経済政策が可能であるが、アメリカ大統領選などの動向もある。またTPPによる日本との貿易拡大も期待されているが、これもケイコ氏が敗れた場合微妙だ。

 ケイコ・フジモリ氏が当選した時も、まずは反フジモリ派との融和が求められる。この場合には選挙でギリギリで大逆転となる。反フジモリ派も簡単に結果を受け入れない可能性がある。経済も微妙だ。ケイコ氏が最も期待されているのが治安の安定。これは産業の展開や観光産業においても絶対的な要素だ。ここはかなりクリアされるかもしれない。

 いずれにしても、今回のように大統領選が大接戦になると今後の展開が難しい。負けた陣営が諦めがつくような差が開いたほうが本当はいいのである。今後に尾を引く選挙とならなければいいのだが。