6月1日の衆議院解散はあるのか~消えたはずの解散が蘇る可能性

(写真:アフロ)

 参議院選挙は7月10日に予定されている。これに合わせて、衆参同時選挙があるかどうかが、ずっと話題にのぼってきた。3月の時点では、衆参同時選挙は既定のスケジュールのように語られていたが、これを一気に変えたのが熊本地震であった。4月14日ー16日の熊本地震はその後も余震がたくさん起きた。余震がなかなか収まらないこともあり、衆議院解散による総選挙はまずないのではないかとみられた。

 私も、余震が続く中での解散総選挙は避難者にも被災自治体にも大きな負担になる。選挙費用も嵩むわけで、さすがに安倍首相は解散の切り札は切らないだろうと予想した。しかし同時に、この見方が広がると準備の進んでいない野党、特に民進党は準備を進めることがなくなり、いわゆる「寝たふり解散」の効果が出ることも指摘した。その効果も把握しながらも安倍首相は解散しないと予想したのであるが、状況は変わりつつある。最後の最後までわからない状態になっている。

 まず、1ヶ月を越したくらいから余震が少なくなっていることである。また他に大きな話題になるニュースが多く出たこともある。伊勢志摩サミット、オバマ大統領の広島訪問があり、またスポーツでは錦織選手の活躍、野球、バレーボール、大相撲などもニュースになった。その分、熊本地震のメディアカバーが少なくなり、5月初旬くらいまであった震災後の緊張感が国民から薄れたことがある。まだ避難所で被災者が厳しい生活を送っているのであるが、メディアから伝わる空気は大きく変わった。

 そしてここにきて、民進党の岡田代表が消費税の引き上げの2年延期を提案。それを安倍首相はあっさりと飲んだばかりか2年半の延期を発表した。こうなると自民党の政策と民進党の政策の差は何なのか分からない。しかも安倍首相は伊勢志摩サミットで、世界経済の低迷を避けることを合意させた。うまりアベノミクスの失敗によるものではなく、世界経済の不調から増税を延期するという理由付けを得たことになる。

 この消費税増税の引き伸ばしに、 麻生財務相や谷垣幹事長が解散総選挙で国民に問うことを提言した。安倍首相は解散総選挙を行う「大義」を得たことになる。これがどこまで与党内の「ヤラセ」なのかわからない。とにかく結果として、解散総選挙を行う環境ができたのである。

  野党は安倍首相に内閣不信任案を出す可能性がある。参議院選挙を前にして安倍内閣に強い姿勢で臨む必要がある。しかしこれは諸刃の刃で、内閣不信任案が出されるなら、衆議院解散総選挙の「大義」を得ることになる。しかし、野党がこれだけ騒いでおいて、内閣不信任案を出さないとなると、弱腰のスタンスを見せることになる、かなり難しいところだ。

 最後の最も重要なポイントは安倍首相が総選挙に打って出たとき、結果はどうなるかという予想である。個人的には選挙をここまで頻繁にするのは決して良くないと思っている。そうした個人的な気持ちとは別に結果を予想してみよう。同時選挙を行うと20~30議席を自民党は衆議院の議席を減らすという予想をする人も多いが、私は、現在の議席とほぼ同じくらいの勝利になるとみている。なによりも、民進党の準備ができていない。自民党と公明党は前回選挙の大勝もあり、小選挙区のほぼすべてに現職を擁立できる。つまりいつでも選挙OKなのだ。民進党はまだ候補者のいない選挙区がかなりある。しかも、熊本地震、伊勢志摩サミット、オバマ大統領の広島訪問などすべてで、安倍首相のメディア露出が多く、民進党など野党はほとんど報道されていない。この状態で一気に衆参同時選挙となると自民党がかなり有利な展開となる。

 今、衆議院総選挙を行い、勝利するなら、安倍首相は3~4年をかけて、憲法改正を実現する時間的な余裕を持つことになる。憲法改正は安倍首相にとって非常にプライオリティの高いテーマ。最大の目標といってもいいかもしれない。今の状況下なら、批判があろうとも衆議院解散をして同時選挙とするなら、憲法改正に大きく近づくことになる。この可能性を否定することができなくなった。

 熊本地震で被災し、避難所で暮らしている人も多くいる。震災で機能不全の役所もある。2年ごとに衆議院選挙をするのにも大きな問題があると思っている。政治家は選挙のために活動するのではなく、いい政治のために活動をして欲しいと思っている。ただこれは個人の意見に過ぎない。

 分析をすると、 消えたはずの解散が蘇ってくる可能性もかなりありそうだ。