舛添知事の海外出張と別荘への公用車使用~知事のメディアでの対応にも問題

(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 舛添要一・東京都知事に批判が集中しています。現在の主な問題は、高い海外出張費と週末のほとんどを公用車で神奈川・湯河原の別荘に出かけていることです。議論のポイントがたくさんあります。整理してみましょう。

1.海外出張費

*ファーストクラスが必要か?

 主要な県や政令指定都市では知事や市長、副知事や副市長など特別職ははファーストクラス、局長級はビジネスクラスの利用が認められる条例を持っています。舛添都知事は派手ですが、他の県や政令指定都市の長もこれまでファーストクラスを使っている人がいました。石原元都知事も、猪瀬前都知事もファーストクラスを利用していました。東京都だけではありません。表面に出ないだけです。条例上は問題ないのです。しかし、最近は知事や市長の多くは自粛していて、ビジネスクラスであったり、小さな自治体ではエコノミークラスを使います。リーダーがファーストクラスを使えば、その下の職員の多くはビジネスクラスを使います。一人だけの問題ではなく、全体の費用があがることにつながります。

*ホテルはスイーツが必要か?

 舛添氏の泊まった部屋が非常に高いことも問題視されています。ロンドンやパリでは1泊20万円程度、アメリカでは1泊15万円程度です。確かにロンドン、パリ、ニューヨークのホテル代は高いです。それに舛添知事の主張のように時期によっても価格は異なります。それでも5~6万円で5ツ星のホテルに泊まれます。スイーツである必要性に関しては、突然のお客さんなどとの会合に使えるというものでした。このケースはまずありえません。知事が泊まっている部屋で会合を持つというのは一般的とは思えません。そうしたホテルにはレストランやバーなどもあります。そうしたところではダメな特別な人が知事の部屋をあてにしてくるとは思えません。大阪府や大阪市は欧米では1泊2万9000円と規定しているようです。さすがに今は2万9000円だとロケーションがあまりよくないかもしれません。

*空港での貴賓室は必要か?

 舛添知事の一行は空港の貴賓室を3回借りており、これが約165万円となっています。その理由はセキュリティーとスムーズな出入国のためといいますが、これも贅沢としかいいようがありません。ビジネスクラス以上であれば、特別ラウンジもあるはず。これだけのお金を払って貴賓室を借りるというのは驚きです。

*あれこれで全体の費用が高い

 舛添知事の海外出張は知事就任後2年間で8回出かけていて、総費用は2億1305万円、1回の平均が2663万円となっています。無駄な費用は全くない、という主張ですが、これはやはり尋常ではありません。石原元知事や猪瀬前知事も贅沢出張として批判されていましたが、1回の平均はそれを超えます。

*これで行財政改革ができるのか?

 知事が多少贅沢しようとも、仕事ができるのならそれは些末のこと、という議論があります。しかし、お金はいくらでもあるのではなく、削減もしていくことが必要です。実際に東京都でも福祉や医療予算は膨らみますから、削減の意識が必要とされます。教育予算はやや削減されています。行政のトップがスイーツに泊まっていては、行財政改革に説得力がなくなります。つまり、些末のことでは済まされないのです。

2.神奈川県の湯河原町の別荘の件

*公用車で行くべきか?

 舛添氏は幾つかの論点からこれが正当であると主張しています。A)別荘は事務所として使っていて、公務も行っている。B)別荘には広い風呂があり、激務の知事の健康管理の点から重要である。C)公用車はうんて飲酒などに秘密保持を要求でき、公務を行うことができる。ただ、これを言い出すと、知事など政治家にとってはすべては公務の範囲になります。自宅でも公務をやっている政治家は多いはず。全てが「公」という主張になれば、公私の区別は意味がなくなります。話の前提が崩れてしまいます。

 これは極論です。知事や市長はすべての生活が「公務」とするという共通認識はできていません。やはり線引きは必要でしょう。

*地震などの災害時に対応できるのか?

 毎週のように別荘に泊まるとなるとその位置も重要です。湯河原町は神奈川県の端。東京都からはかなり距離があります。普通の時には確かに1時間半の移動時間でしょう。しかし、重要な災害時はどうか、です。湯河原から東京都庁への道はかなり限定されます。大地震で高速道路が不通になったら、相当な時間がかかると考えられます。一般道は車で溢れているでしょうし、それらも不通の部分があるでしょう。とても1時間半で帰れるとは思えません。毎週のように、というのが問題視されます。

*危機管理は?

 毎週のように別荘に行くとなると、知事の安全も確保する必要があります。神奈川県ですが、神奈川県警に依頼するわけにもいかないでしょう。東京都知事の発言はかなり論議を呼びます。安全の確保はどのようになっていたのでしょうか。今回の件で別荘も有名になりました。ますます危険度が高まりました。

3.対応について

 舛添知事は今回の一連の件が明らかになっても、それは当然であるという姿勢を崩していません。笑顔で対応されているのはさすが、とも思えます。しかし、やはり住民感覚とはかけ離れていることは確かです。「全く問題ありません」と居直られると、やはり反発をうみます。「王様気取り」「殿様気取り」という印象がついたら、都政をスムーズに行うのはかなり難しくなったと言えます。今回の件は、法的な問題よりも庶民感覚との乖離というレベルのものです。真摯に対応されたらここまで問題化していなかったかもしれません。ファーストクラスに乗ってスイートに泊まり、毎週、公用車で神奈川県の別荘に行っていたとなると、普通の人からすれば、「お殿様気分」という批判的感情が湧き上がります。それを「一切問題ありません」と言い切られると、ますます批判的になるのです。税金を使う仕事です。住民の感情にも思いがなければ、失格です。