ブラジル・ルセフ大統領の弾劾は可決されるのか~訴追されているルーラ前大統領がまさかの入閣

(写真:アフロ)

ブラジルが驚くべき展開になっています。ルーラ前大統領はマネーロンダリング(資金洗浄)などの容疑で訴追されました。これから本格的な捜査が始まり、起訴となる段階にありました。ルセフ大統領は内閣改造で、ルーラ前大統領を官房長官に任命したのです。これによって捜査や起訴が難しくなります。たまたま内閣にいて、捜査や起訴を免れるということはあるにしても、それを防ぐために内閣に入れるというのは驚くほかありません。国民は怒っています。実際にこの入閣に対して、各都市で抗議デモが発生しています。

ルセフ大統領はそれでなくても低い支持率で、弱体化しつつあります。昨年からはルセフ大統領の弾劾の動きもあります。弾劾が可決されるには上院、下院の両方で3分の2以上の賛成が必要になります。ルセフ内閣は連立を組んでおり、弾劾を阻止するに十分な「仲間」がいました。しかし、今回のルーラ前大統領の入閣などもあり、連立与党の一部が離脱する可能性が高くなっています。民主運動党は連立から離れる可能性を示唆しています。国民からの批判、メディアの追求も厳しくなっており、私は連立政権は崩壊していく可能性が高いと思います。となると弾劾が可決される可能性が現実化するのです。

弾劾が可決される前に、退陣となるでしょう。政治は大混乱となっています。

ブラジルでは夏にリオ・オリンピックが開催されます。その前にルセフ大統領が退陣し、新大統領のもとでオリンピックが開催されるのか、ルセフ大統領がそのままホストとなるのか、交代の混乱期にオリンピックが重なるのか。退陣のプロセスはかなりスピードアップとなりそうです。私は、オリンピック前に新政権の誕生となるのではないかと予想しています。

ブラジルの政界が混乱していますから、ブラジルの「危機」と思いきや、市場はルーラ前大統領の入閣を好意的に受け止めています。つまり、ルセフ政権は風前の灯とみて、近いうちに政権交代があり、新生ブラジルのもとに景気回復があると予想しているのです。ブラジル株は上がる傾向になり、通貨レアルも上昇しています。ブラジルは資源大国であり、人口大国でもあります。国土も広大です。将来に対する潜在力はかなりのものです。政治の混乱が収まり、世界的な不況が底打ちするならまた必ず蘇る国なのです。

リオ・オリンピックはブラジルが再生する一つの大きな契機となるかもしれません。ブラジルの今は、景気低迷、汚職、ジカ熱、治安の悪化などで最悪の状況。こうした状況だからこそ、ブラジルは「買い」なのかもしれません。今後、政局がどれだけ早く安定するか、も大きなポイントになります。

広大で大らかな国ブラジル。資源が豊富な国ブラジル。日本にとっても魅力ある国ですね。