反トランプでまとまらない共和党~このままだと最後に笑うのはトランプ氏という展開

(写真:アフロ)

アメリカ大統領選の共和党予備選が混沌とした状態に陥っています。多くの人の予想に反して、不動産王ドナルド・トランプ氏の勢いが止まりません。私もトランプ氏は早期に支持がなくなり、撤退すると予想していました。ありえない選択肢と思っていました。予備選もすでに後半戦に入りつつありますが、今でもトップの座を守っています。

2番手はテッド・クルーズ上院議員。確かに話はうまいし、歯切れもいいです。しかし、このクルーズ氏はトランプ氏よりも発言の中身は過激です。トランプ氏はあまりに言いたい放題で、問題発言もあるので、「過激」と見られますが、実際の内容はクルーズ氏の方が極端と言えます。

手法も強引といえます。韓国の国会でフィリバスターといわれる議事妨害が長時間行われ、話題になりました。テロ防止法成立を阻止するために野党は長時間演説をすることによって議事を妨害する行為をしました。「共に民主党」の鄭清来(チョン・チョンレ)議員は11時間39分にわたる演説を行ない韓国最長記録を更新したと報道されました。「ありえない行為」と驚いたものですが、それ以上なのがクルーズ氏でした。彼は2013年9月にオバマケアに反対する立場から、21時間以上にわたるフィリバスターを行っています。ほぼ丸一日、演説を続けたわけです。さすがに共和党内部からも批判が出ました。

主張の内容も非常に過激です。オバマケアに反対し、福祉国家的発想に異議を唱えています。不法滞在の移民に市民権を与えることに反対し、メキシコとの国境を守る警備隊を3倍に増強することを提唱しています。移民難民の受け入れを拒否する主張です。トランプ氏も同様の主張をしていますが、実際の実現力と頑固さからみれば、クルーズ氏の方が上のようです。堕胎にも反対し、同性婚にも反対しています。

ここまで徹底するとさすがに共和党においても主流には入れず、極右にも入れられる存在です。強い信仰に支えられているようで、妥協はしないスタイルのようです。政治家というよりは、宗教的改革者という感じがします。

これでは反トランプ氏の勢力がクルーズ氏にまとまるのに躊躇しているのです。期待は、ルビオ氏でした。実はルビオ氏も主張はかなり過激ですが、柔軟性もあるようで、主流派に見られていました。彼なら幅広い層から支持が得られるかと考えられていました。しかしそのルビオ氏は地元フロリダでの選挙で負けて、大統領選から撤退しました。残る主流派と言われるのは、オハイオ州知事であったジョン・ケーシック氏だけとなりました。つまりまだ、トランプ氏対クルーズ氏の二者選択になっていないのです。

全国的に人気を集めているトランプ氏、超保守派のクルーズ氏、共和党主流と言われるケーシック氏の3つに分かれたままで後半戦に入ることになりました。現在のところ獲得代議員数は、トランプ氏が696、クルーズ氏が418、ルビオ氏が168、ケーシック氏が146です。ルビオ氏の168をケーシック氏に加えると314となります。クルーズ氏とケーシック・ルビオ連合はかなりいい勝負になります。単純にはいかないと思いますが、クルーズ氏、ルビオ氏、ケーシック氏の獲得代議員数を足すと、732となります。トランプ氏を上回るのです。

おそらく最後までこのような状態で進む可能性があります。ケーシック氏がこれからクルーズ氏といい勝負をするなら、誰も過半数を取れなかった時には、年齢も上のケーシック氏にまとまる可能性もあります。まだまだトランプ氏対クルーズ氏の一騎打ちにまで行っていないのです。

しかしこれはトランプ氏にとってはチャンスでもあります。トランプ陣営対反トランプ陣営の戦いになると、最後は逆転される可能性が高いのですが、反トランプ陣営が割れることによって優位な立場に立つことができます。反トランプ陣営がまとまらなければ、最後にトランプが笑うという展開も十分に考えられます。

そしてこれは、本当に最後にはクリントンが笑うという展開に繋がるのではないかと思っています。オバマ大統領の評価はあまり高くありません。またヒラリー・クリントン氏には「期待感が感じられない」という声が強く、今回は共和党の大統領になると考えられていました。クリントン氏の弱さが、サンダース氏の予期しない大健闘につながったと言えます。しかし、共和党の大混乱。終わってみれば史上初の女性のアメリカ大統領誕生となっているかもしれません。

いずれにしても、共和党の候補者の動向は注目しなければなりません。それにしてもトランプ氏やクルーズ氏などすごい極端な候補者が有力となったことに驚きです。民主党のサンダース氏もアメリカ大統領選としては考えられないような候補者です。アメリカは分裂しつつあると言えるのかもしれません。