どうなる原油価格~産油国の生産調整は可能なのか?

(写真:ロイター/アフロ)

原油価格は2004-5年くらいから急上昇を始めます。それまで1バレル20~30ドルで安定していたのですが、どんどんと上がり続け、2008年から2014年くらいまでは1バレル100ドル前後の高止まりとなります。産油国にとっては黄金の10年となるのです。ちょうどこの時期は中国が高度成長を続ける時期と重なります。年10%前後という信じられないような経済成長を続け、世界の工場としての地位を確立します。資源はいくらあっても足りない、という状況が訪れ、原油だけでなく石炭、鉄鉱石など様々な資源が驚くほどの値上がりを続けます。レアアースが問題となったのもこの時期。需要と供給とのバランスが崩れ、価格はどんどんと上がります。資源国はさらなる価格上昇を目論んで供給の出し惜しみをします。

しかし資源価格が高止まりすると、様々なことが起きてきます。原油・ガスの分野ではシェールガス・シェールオイルが現実化しました。これはシェールガス革命とも言われるもので、それまでの資源国の構成を大きく変えるものになりました。アメリカやカナダが一気に資源大国として躍り出ます。潜在的には中国、アルゼンチン、アルジェリア、メキシコ、オーストラリアなどもオイル・ガスの資源国となります。また、海洋石油やガスの開発も進みました。ブラジルなども原油産出国として新たに出てきました。

また地球温暖化への懸念もあり、省エネ技術も進みました。高い原油価格はそれを後押しする形となりました。レアアースなどの価格高騰は、レアアースに変わる技術開発を促進し、レアアースに頼らない産業構造ができました。

この状況が整ったところで、中国経済が失速します。1バレル100ドルにまでなった原油価格が、30ドルを切るところまで落ちたのです。

需要と供給のバランスが崩れたのですから、供給の制限がどれだけできるか、です。サウジアラビアやロシアなど主要産油国は、原油増産を凍結する生産調整で広範な合意を得るため、3月下旬に会合を開く見通しと伝えられます。この見通しから、原油価格は若干、上がっています。急に上がらないのは本当にどこまで原油の増産凍結、あるいは減産が徹底するかが不明だからです。OPECは国際石油資本などから石油産出国の利益を守ることを目的として、1960年9月14日に設立された組織です。設立当初は、イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの5ヶ国を加盟国としていたものの、後に加盟国は増加し、2016年現在では13ヶ国が加盟しています。現在の加盟国は、イラク 、イラン、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラ、カタール、リビア、アラブ首長国連邦、アルジェリア、ナイジェリア、アンゴラ、エクアドル、インドネシアです。世界最大のカルテルです。

まずイラン問題があります。イランは経済制裁がされていたので、原油生産を抑えていました。その制裁が解かれたので、増産に向けて舵を切ったところです。これをいきなり止めるのは難しい。となると、他のメンバーで増産凍結や減産をしても効果は限定的です。

それに現在ではOPECメンバー国だけでなく主要なオイル・ガス生産国は多様になっています。アメリカ、ロシア、ブラジルなどとの連携がしっかりしなければ、減産は単に世界シェアを失うことにしかならないのです。 

とはいえ、原油価格の急落によって、現実的に生産が割に合わなくなり結果としての減産も起きつつあります。アメリカのシェールガス・オイルもそろそろ生産量が落ちつつあると言われます。この状態にOPEC加盟国とロシアが歩調を合わせると、以前のような絶対的な影響力はないにしても、ある一定の影響を市場に与えることは出来るでしょう。おそらく1バレル50ドルくらいまでは価格は戻るのではないかと思われます。しかし、現状ではほとんどの主要産油国は、経済的に厳しくなっており、特に価格が多少とも上がるなら増産して売りたいところです。ロシアもブラジルも経済危機です。アメリカのシェールガス会社も倒産の危機にあります。そして、世界経済は低迷の時期に差し掛かっています。中国経済がさらに落ち込めば、オイル需要はさらに下がります。少し、価格が上がれば、増産によってまた価格が下がる、という状況を繰り返しそうです。

おそらく1バレル40ドルから50ドルの間で安定するのではないかと予想されます。資源輸入国日本にとっては、このレベルでの安定化はむしろ好条件です。産油国の足並みは以前のようには揃いません。日本は省エネ技術のカードを持って立ち向かうべきでしょう。