名古屋市議の報酬が年800万円から1450万円に~求められる妥当な報酬額の決め方

(写真:アフロ)

名古屋市議会は、自民、民主、公明の3会派が中心となって、暫定的に年800万円に半減している市議報酬を、4月から約650万円増額し年約1450万円とする特例条例を賛成多数で可決しました。

名古屋市議の報酬を半減する施策は、2011年に全会一致で条例が成立し実現したものです。1600万円あった報酬が一気に800万円になりました。これは河村市長が署名運動を主導し、市議会解散を行い、出直し選挙で河村市長が代表を務める地域政党・減税日本の躍進を受けたものです。名古屋市のような大都市ではありえないといわれたリコール選挙を勝ち取り、その勢いで減税日本は躍進をしました。その勢いに圧される形で、報酬の半額化が行われました。しかし、その後は減税日本の議員の不祥事も相次ぎ、河村市長の勢いは消え失せました。その後の市議会選挙では減税日本は議席を減らし、自民、民主、公明の3会派で50議席を獲得し、主導権を取り戻した形です。

この決定に対して河村市長は拒否し、再議を要求するようですが、自民、民主、公明の3会派が3分の2以上を占めており、再議でも可決されるものと見られます。

今回の案は期末手当を年200万円から445万円に戻し、月額は本来の99万円から15%減らすというもの。15%の減額率は高いというものの、もともとの月額99万円は非常に高いもので、月額84万円になってもかなりの額です。他の政令指定都市との比較では年1450万円は中ぐらいになるというところでしょうか。大阪市は減額措置中で1300万円を切っています。年1450万円は予算規模が名古屋市より小さい福岡市や神戸市を下回ります。

私は、「市長や議員の給与・報酬は安ければいいというものではない」の立場です。これは、「市長や議員の給与・報酬を考える~安ければいいというものではない」http://bylines.news.yahoo.co.jp/kodamakatsuya/20131002-00028613/

で書いています。そこで、どのくらいが妥当な報酬かについても触れています。今、読み返しても妥当なところなかな、と思います。記事からの引用です。

「まず、選挙に出るには多くの場合において仕事を辞める必要があります。これは日本の社会においては大きなマイナスになりえます。広義の選挙活動をするのに、かなりの費用がかかります。落選した時にはそれが借財として残ります。当選した場合にも、その借財を給与や報酬で返していくことが必要です。選挙にお金がかからない、というのは、今の日本の制度では建て前か、特別なケースです。市長選での費用を1000万円と見積もるなら、4年の任期のうちに1年で250万円を返す必要があります。市議選での選挙費用を400万円と見積もるなら、4年の任期のうちに1年で100万円を返す必要があります。当選しても4年間しか保証がありません。極めて不安定な職業です。このことにも100万円程度の上乗せをしてもいいでしょう。

このように考えるなら、政令指定都市の市長の給与としては、800万円+選挙リスクとして200万円+仕事の不継続として100万円+選挙費用として250万円+4年だけの契約として100万円+市長の職へのモーティベーションとして200万円で、1650万円を年収とするのが妥当な線ではないかと思います。

市議の報酬としては、800万円+選挙リスクとして100万円+仕事の不継続として100万円+選挙費用として100万円+4年だけの契約として100万円+議員の職へのモーティベーションとして100万円で、1300万円が妥当な線かと思います。」

名古屋市議の場合、私は1300万円くらいを妥当な額としました。今回の案は、それをかなり超えます。私は名古屋市議の報酬が800万円だと実際に立候補する人が限られるという事態からも上げる必要はあると思っていました。しかし同時に議会改革の先頭に立って欲しいという思いもあります。5年前に全会一致で決定した報酬の半額化です。その精神は持ち続けて欲しいと思っています。それだけにいきなり800万円から1455万円に上げるというのはなにか釈然としません。せめて私が妥当と考えた1300万円の枠以下に収めて欲しかったと思っています。

議員の報酬の決定は難しいもの。それを議員自らが行う仕組みにこそおかしなものです。その自治体の財政規模、財政状況などを踏まえて、第三者機関が目安を出すという形をとらないと、高くなったり、急に安くなったりと定まりません。議員にも生活があります。安ければいいというものではありません。しかし、高ければいいというものでもありません。首長と議員の報酬の決定はもっと違う形で行うことが必要でしょう。