強まる制裁に北朝鮮崩壊はありうるのか~中国による北朝鮮併合のシナリオ

(写真:アフロ)

北朝鮮は1月6日に核実験、2月7日に長距離弾道ミサイルの発射を行いました。また3月3日には短距離ミサイルかロケット弾を東部の元山付近から日本海に向けて発射しました。北朝鮮の脅しは止まりません。

韓国の朴大統領は、北朝鮮に対しては基本的に金大中、盧武鉉両政権が続けてきた「太陽政策」の流れを受け継ぎ、「宥和路線」をとってきました。しかしこの路線を大きく変えることにしたようです。韓国政府は、北朝鮮に寄港した第三国の船舶の入港を禁止するなどとした独自の追加制裁措置を発表しました。かなり本気モードでの制裁を発表しています。南北で共同運営するケソン工業団地の操業を中断しました。これは韓国にとっても打撃のある措置ですが、決断しました。また、北朝鮮籍の船舶だけでなく、北朝鮮に寄港した第三国の船舶についても韓国に入港することを禁止しました。これで北朝鮮の密輸が極めて難しくなります。

日本も独自の制裁措置を取っています。日本政府は2014年に緩和した独自制裁の復活にとどめず新たな制裁に踏み込んでいます。北朝鮮を経由した第三国籍の船舶の入港禁止も行います。

今回の制裁で注目されるのは、国連安全保障理事会が制裁決議を採択したことです。ロケットや航空機燃料の輸出禁止を盛り込むなど「過去最強」の内容となっています。中国、ロシアも基本的に制裁決議に賛成したことになります。今回の経済制裁は、かなり実質的です。制裁の中心となるのは北朝鮮への航空機燃料・ロケット燃料の輸出禁止です。また、兵器の全面禁輸、兵器に関する物資・金融取引、技術指導や助言なども禁じられました。それよりもダメージが大きいと考えられるのが、北朝鮮から石炭や鉄鉱石を輸入することの禁止です。石炭や鉄鉱石は外貨稼ぎに重要な役割を果たしていました。北朝鮮が核開発やミサイル開発をするには外貨も必要です。それが難しくなると大きな痛手となります。中国がどこまで制裁実施に参加していくかがポイントです。中国も一緒に厳しい制裁を科すなら、本当に北朝鮮は崩壊する可能性さえあります。

今の北朝鮮の経済状況からすると、核実験や長距離弾道ミサイルの開発をするような余裕はないはずです。基本的な生活物資が足りない状況です。また最高指導者である金正恩・朝鮮労働党中央委員会総書記による粛清は、貴重な人材を失うことにつながります。人材の育成には時間もかかります。粛清が続くと、結局は国力のダウンにつながります。

これまで、北朝鮮に制裁を科しても、結局は中国や韓国が抜け道を作り、あまり効果があげられませんでした。しかし今回はかなり厳しい制裁となりそうです。朴大統領は「体制の崩壊」に言及しています。本気度がわかります。

さあ、主題です。このまま北朝鮮が追い詰められたらどうなるか、です。北朝鮮が崩壊し、韓国が北朝鮮を併合する、と考えられています。一歩間違えれば、崩壊後に難民が溢れる、といわれます。

私はその前に、中国が平和的に併合すると考えています。中国は既に様々な形態で、中国の名の下に「自治組織」を持っています。いくつものレベルがあります。

A.台湾のように別の国のような組織でありながら、一つの中国としている形態。

B.香港やマカオのように中国内にありながら、特別行政区としている形態。

C.中国内で自地区を形成する形態。

北朝鮮をAとBとの間のような地域にして、中国の傀儡政権を作ることはありうる選択肢です。完全に中国になると韓国と直接、接するリスクがあります。微妙な緩衝地帯を作っておきたいのは、中国も韓国も一緒。しかし支配権を持つことによって、完全に傀儡政権の国・地域を作るというものです。 金正恩総書記が中国の政策に抗するのであれば、一気にこうした戦略に出る可能性があります。

北朝鮮の崩壊を避けたいのは中国も韓国も同じ。混乱を最小にするのであれば、中国が併合的な形で傀儡政権を作るのはありうるシナリオと思います。