トランプ氏、テロ対策の拷問を肯定~拷問が可能になるように法律を変える

(写真:アフロ)

アメリカ大統領選挙の今のところの主役と言っていいドナルド・トランプ氏。そのトランプ氏はテロ容疑者の拷問やその家族を対象とした攻撃を認めるとの主張を繰り返してきました。拷問を容認するという彼の主張は批判を浴び、法律違反を犯してまで拷問をすることはない、という主張にかわりました。これを多くの人は、拷問撤回と捉えたのですが、彼は拷問を可能にするようにアメリカの法律を改正すべきだという主張でした。つまり、法律を守るということは、法律を変えて、拷問を可能にするということなのです。

こういう主張をする人がアメリカの大統領選の主要候補となっているというのは驚きでしかありません。

アメリカの上院情報特別委員会は、アメリカ中央情報局(CIA)の実施したテロ容疑者に対する尋問プログラムに関する報告書の一部を公開しました。2001年9月11日の同時多発テロはアメリカにとって衝撃であったことは確かです。それ以降、CIAはテロ対策として、国際テロ組織アルカイダに関係するテロ容疑者などに対して各地の秘密収容所やキューバにあるアメリカ海軍収容所に強制連行して拘束し、「拷問」を加えたといいます。相当にひどい拷問があったようで、報告書によれば、全裸で監禁、水責め、直腸からの直接栄養法、虫責め、天井からの吊り下げ、睡眠妨害など映画の世界でみるようなことが実際に行われたようです。これは内外で大きな波紋を呼びました。

アメリカは1994年10月に「拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約」(略称「拷問等禁止条約」を批准しています。アメリカ議会上院は、拷問・他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約(CAT)を批准しています。

「拷問等禁止条約」に関しては、2010年1月現在の締約国は146です。この条約は加盟国に拷問等の防止を義務づけ、いずれの国で、またなんびとによって行われた拷問も、犯罪として処罰すべきものとしています。拷問をしてはいけないというのは世界の基本的な姿勢。いわゆる民主主義国では拷問は禁止されているはずなのです。確かにテロ組織では拷問もあるかもしれません。それだけに、そのテロとの戦いにおいては、「拷問」に反対する民主主義との戦いという構図ができないとならないのです。ちなみに、日本の「拷問等禁止条約」への加入はおくれ、1999年(平成11)8月に加入しています。

「拷問」はいかなる条件のもとでも認めない、という毅然とした姿勢を持つことが「民主主義国」アメリカが堅持すべきもの。アメリカ大統領が「拷問」を容認しては、世界の拷問文化はなくなりません。テロリストや世界の独裁国に、「拷問」の権利を認めるようなものです。これは世界の治安と人権のあり方にも大きく影響します。

アメリカ大統領選挙ですから、投票権のない日本人がどうこうすることはできないのですが、「民主主義国」の盟主としての良心を大切にしてれる大統領を選んで欲しいと願います。