カースト制度に苦しむインド~ハリヤナ州で暴動

(写真:アフロ)

経済成長は中国の次はインドだ、言われていますが、インドの発展は中国のようにはいきません。整わないインフラ、酷い衛生環境、混沌とした社会制度、複雑な官僚制度、働く意欲が感じられない労働者などいくつもマイナス要因をあげることができます。そして最も厄介なものがカースト制度です。

今も、厳しいカースト制度は生きており、労働が分化されています。なんとも効率が悪い社会システムになっています。階級が違えば、仕事も、生活空間も異なります。一緒に食事をするというのも限られた時だけ、ということになっているようです。日本人の私たちからすると、食事を一緒にしながら会話をしたいと思っても、階級が違う人がいるときにはそれはできないようです。

今、インド北部のハリヤナ州でカースト制度を巡る抗議運動が起きています。下層カーストによる反乱かと思いきや、状況はもっと複雑なようです。「ジャート」と呼ばれる比較的裕福なカーストが、被差別カーストに与えられる優遇策は逆差別に当たると主張しているのです。インド当局のカースト指定では、『その他後進階級』(OBC)、『指定カースト』(SC)、『指定部族』(ST =Sc h e d u l e Tribe)という3 つがあります。指定カーストや指定部族となると一種のクオーター制度(割り当て制度)が適応され、就職がしやすくなるのです。はっきりと高い階級であればいい仕事に就けます。指定カーストなどになればそれもまた仕事に就ける可能性が高くなります。中途半端に低いと仕事に就けにくいという現状があり、優先的な割り当てを求める人たちがいるのです。

今回のデモはジャートと呼ばれるカーストが起こしているもの。彼らは公務員採用や大学入試の優先割り当てを求めています。インドは、国内で最も差別されている人々を救済し、階級間の格差を減らすために低位カーストのための優先枠をさまざまな分野で設けています。しかし、この低位カーストに指定されていない集団は自分たちが社会システムから締め出されていると感じているのです。かなり複雑な構造です。

地域や州によっても、状況は違うようです。単純でないだけに、非常に厄介なのです。

今回のデモでは週末にかけて道路の封鎖や列車の駅襲撃、建物への放火や略奪が相次いだといいます。極めつけはニューデリーの水処理場へ水を運ぶ用水路が、閉鎖され、壊されたと伝えられています。その結果、ニューデリーは深刻な水不足となっています。私もインドから帰国したばかりですが、最後の頃にはニューデリーで確かに水が出ず、困ってしまいました。インターネットが繋がらなかったので、何が起こっているかわかりませんでしたが。

これはインドの経済にも大きな打撃を与えています。現地では日系企業も休業などをせざるを得ない状況にあるようです。これからもインドではカースト制度をめぐるデモや暴動は起きるでしょう。簡単な解決策はないように思えます。インドが経済成長をして、IT産業のようなカースト制度でカバーされていない新たな産業がどんどんと発展することが硬直した社会を修正することにつながるのかもしれません。徐々に徐々にインドは発展していくのでしょう。逆に言えば、猛烈に発展し、それからぶり返しがある発展方法よりも、長い間、発展が続く事になるのかもしれません。