台湾観光業界が危機に~中国からの観光客が激減の可能性

(写真:アフロ)

台湾総統選で民進党の蔡英文主席が勝利しました。これから台湾は民進党政権に代ります。ただ、これから中国との関係はいろいろとギクシャクしてきそうです。陳総統時代よりもさらに問題となりそうな予感がします。

まずは、中国からの観光客の激減の可能性です。中国からの観光客の多くは団体のツアーによるものです。これが大幅に減るのではないかとみられています。中国政府は警告の意味を込めて1日5000人のツアー枠を3750人にまで減らすという噂が飛び交っているのです。もっと減るのではないかと予想するむきもあります。

2008年に国民党が政権に復帰し、馬英九政権が成立して以降、中国からの台湾への観光客数はうなぎのぼり。日本からの観光客が圧倒的だったのですが、2010年からは中国からの来訪者数は日本人を上回り、2012年には延べ259万人、2014年には399万人に達しました。2014年の日本からの観光客数は163万人ですから、中国からの観光客は日本からの観光客の倍以上になっています。以前は台湾への団体旅行は一部都市の住民に限って開放されていましたが、中台関係の改善とともに居住地要件が緩和、さらには撤廃されたことが、観光客が急速に拡大した要因です。2011年からは、個人旅行においても居住地制限付きながらも解禁されています。

中国からの観光客は、マナーの問題や中国系の店舗周りが設定されているなど問題はありました。そうしたことからの「中国人」のイメージダウンも「台湾人」が距離を置く要因の一つであったと思われます。

しかし、台湾においても観光産業では非常に重要になってきていたことは確かです。中国からの観光客の増加を見込んでのホテルや土産物店などが新たに建設されるなど、経済的には大きなプラスでした。中国人観光客の「爆買」は観光産業にとっては願ってもないこと。日本でも中国人観光客シフトが敷かれたように、台湾でも中国人対応が中心になってきました。

この状態で一気に中国からの観光客が減るとなると台湾の観光業界は混乱に陥るのではないかとの不安の声が出ているのです。実際にどこまで減るのかは分からないところです。日中関係はかなり悪化してきましたが、それでも中国からの観光客は急増しました。ただ、民進党の台湾にはかなり厳しい対応があるかもしれません。

中国観光客の減少をすべてカバーできるとは思えないまでも、日本からの観光客の増加は見込めそうです。これまでも日本人の台湾へのイメージはいいものでした。これが蔡英文政権になるとさらに良くなるのではないかと予想されます。尖閣問題が過剰に政治化しないのであれば、ほぼ確実に日台関係は大きく前進します。台湾には日本人の舌に合う料理がたくさんあります。小龍包や牛肉麺などは毎日でも食べたい。奥深いお茶の世界 の世界もいいですね。士林夜市なども魅力の一つです。2001年に公開された「千と千尋の神隠し」モデルと噂された九フンも独特の雰囲気があって好きです。

日本の全国修学旅行研究協会が公表した調査報告によれば、2014年度に修学旅行の目的で台湾を訪れた高校生は2万8314人でトップとなり、2位のマレーシア(1万9064人)を大きく上回っています。日本の高校の海外修学旅行先として台湾が訪問者数で世界1位となっています。

こうした民間交流は国と国との関係においても重要です。政治環境に左右されない確固たる民間の絆を築けるといいですね。