サウジとロシアなどが原油減産の調整へ~限定的な影響か

(写真:ロイター/アフロ)

ロイター通信などがロシアのノバク・エネルギー相が、サウジアラビアが各産油国の生産量を最大5%削減する提案を行ったことを明らかにしたと報道しています。原油価格は急落してきました。産油国の財政状況は悪化しています。これまでならもっと早く生産調整の動きがあるはずでした。それがなかったことが憶測を呼んできました。サウジアラビアがアメリカなどのシェールガスを潰しにかかっているということも多くの人が言ってきたことです。確かにシェールガス会社には打撃を与えていますが、今でも稼働しています。サウジアラビアを含めた産油国への打撃も大きく、チキンゲームでどちらもマイナスになるという形になりつつありました。

ここにきて、最大5%の削減調整の提案。サウジアラビアは石油輸出国機構(OPEC)の盟主です。あまりに急激な原油価格の下落にやっとサウジアラビアが動き出したということです。国際石油市場は敏感に動いています。この報道を受け、指標となる英国産北海ブレント先物が急伸、1バレル=35ドル台を回復しました。 

問題は、本当に減産ができるかどうか、です。生産調整には強いリーダーシップと結束が必要です。産油国のなかには財政的危機に直面している国もあります。そうした国にとっては他の国が生産調整をしてくれて、価格が上がった状態で多くを売るのが最もいいシナリオ。これまではOPECの枠組みでなんとかできていましたが、今は、アメリカのシェールガスという新たなアクターがいます。現在、原油の生産では世界は三強時代。サウジアラビア、ロシア、アメリカです。アメリカが追従しない限り、減産効果は限定的なのです。またサウジアラビアの国営石油企業のサウジアラムコの新規株式公開(IPO)を検討していることもポイントになります。一民間企業になれば、やはり利益を上げるのが目的になります。減産などの調整はさらに難しくなります。

1日あたりの原油の生産量の多い国

順位 国名 生産量(バレル)

1 サウジアラビア 1,152.5万

2 ロシア 1,078.8万

3 アメリカ合衆国(米国) 1,000.3万

4 中華人民共和国(中国) 418万

5 カナダ 394.8万

6 アラブ首長国連邦(UAE) 364.6万

7 イラン 355.8万

8 イラク 314.1万

9 クウェート 312.6万

10 メキシコ 287.5万

[日本(注) 1.2万]

(注)経済産業省 資源エネルギー統計2013より算出

(単位:バレル 出典:BP Statistical Review of World Energy 2014- Oil: Production, 2013(「BP世界エネルギー統計2014」(原油生産(2013年))外務省ホームページより

またイランへの経済制裁が解けたことも大きなポイントです。少々の生産調整では追いつきません。また、世界は中国経済の低迷で、石油消費量が減るステージに来ています。各国の省エネ技術も向上しました。

こうした要素を総合すると、多少は原油価格は上がるものの、相当に限定されたものになり、長期の原油安の傾向は避けられないということになります。

原油が高い時代が続きました。それが原油国の油断を生んだとも言えます。日本にとっては原油安は一種のボーナスです。この原油低価格時代にどのような体制ができるのか。これが日本の課題です。この原油安時代はおそらく5~10年続くでしょう。いつまでも続くわけではありません。日本の産業構造をしっかりとしたものにすべき時代です。