ブルームバーグの奇跡は起こるのか~アメリカに無党派旋風の可能性

(提供:アフロ)

アメリカ大統領選に向けての共和党と民主党の予備選挙がいよいよ始まります。およそ1年かけて大統領選を行うという国です。一種のお祭りのようなノりですが、アメリカ大統領が誰になるかは、世界の行方を左右するものです。重大です。

これまでアメリカ大統領は共和党か民主党の指名候補者から選ばれてきました。その指名候補者を決めるのが予備選挙です。アメリカは二大政党の国。しかも広大な国ですから選挙費用も莫大です。共和党か民主党のどちらからかに指名してもらい、その仕組みの中で選挙戦を戦わないとまず勝ち目がないのです。これまでにも第三の候補者として立候補することがあっても、途中で脱落し、基本的に共和党の候補者と民主党の候補者の一騎打ちという形になりました。

今回はちょっと違う展開になるかもしれません。ニューヨーク市長などを務めた世界有数の資産家、マイケル・ブルームバーグ氏が大統領選の立候補を考えているというのです。彼ならありえる、という状況です。

まず、共和党も民主党も人気をさらに伸ばしそうな候補者がいません。共和党の候補者争いで断然トップを走るのはドナルド・トランプ氏。しかし彼の言動は過激で、問題視されています。このまま一気に突っ走ってあれよあれよという間に大統領、というシナリオは非常に考えにくいものです。テッド・クルーズ氏やマルコ・ルビオ氏がいずれは本命争いをするのではないかと思っていますが、今のところ微妙です。民主党はヒラリー・クリントン氏で決まりそうですが、彼女の支持はあまり伸びていません。これからもそれほど伸びないのではないかと予想されます。未知の期待感、というものが感じられないのです。

実際に調査会社ギャラップの調査がそれを裏付けています。約3割のアメリカ人が、今回の大統領選に出馬している候補者の中に良い大統領になれる人物はいないと考えているというのです。これは相当に高い数字です。共和党、民主党の予備選挙で名前が出ている人は合わせて5~6人はいます。そのすべてにおいて適当な候補者がいないという人が3割です。結局は、共和党から1名、民主党から1名が選ばれます。そうなるとそのどちらも良くないという人の割合はさらに高まるはずです。

同じくギャラップの調査ですが、2014年のものです。自らを無党派とするアメリカ国民の比率は42%と過去最高を記録したとの調査結果を発表しています。ほぼ変わっていないでしょう。アメリカでも無党派層が急速に増加しているのです。

アメリカ大統領選挙はお金の戦いでもあります。これまでは無所属では到底、資金が持たないという問題がありました。ブルームバーグ氏はブルームバーグという通信社を創業し、個人資産が355億ドル(約4兆2千億円、フォーブズ誌推定)ともいわれます。超大金持ちです。もし出馬するなら選挙に選挙に10億ドルを使ってもいいと言っています。しかも知名度も高いし、政治家としての経歴もあります。ブルームバーグというメディアも持っています。財界とのつながりも強く、これからアメリカが世界不況の中に入っていくかも知れないという時期に、経済政策での期待感があります。ありえないくらい要素が整っているのです。

問題の一つは、ブルームバーグ氏の年齢。すでに73歳で、2月14日に74歳になります。アメリカ大統領の任期は4年ですから、任期を全うすると78歳になります。さすがに2期目はないでしょうが、2期目ともなると82歳。まあ、体の元気さは個人差があります。とはいえ、激職のアメリカ大統領の役割をこなすにはちょっと歳をとりすぎているような感じはします。

共和党の候補者次第で、ブルームバーグの奇跡はありえると思っています。共和党でも民主党でもない新たなタイプの大統領が誕生する可能性は十分にあります。