中国経済の低迷が世界的に問題となっています。日本もしかり。ヨーロッパも、アメリカもしかり。世界の経済全体に大きな影響を与えるほど中国経済は大きな力を持ってきました。中国での経済の低迷による社会問題化が論議されていますが、中国よりも先に問題が顕在化するのが韓国です。

幾つかの要因があります。

1.内需が小さく、輸出に頼る構造

韓国の場合には、内需が大きくなく、輸出産業によって経済を発展させてきました。日本も似たような経済発展をしてきたのですが、韓国の場合にはさらにその傾向が強いのです。サムスンにしても基本は輸出企業。輸出が落ちると、一気に売り上げが落ちます。内需による売り上げよりも安定感がありません。特に最近の輸出産業はあっという間にランクが変わります。日本の大手メーカーでさえ、一気に落ち込むことがある時代です。シャープや東芝の現状は10年前には予想だにできませんでした。

2.中国への過剰依存

特に韓国の場合には中国への過剰依存体質ができました。中国が発展してきたこれまではそれでよかったのですが、中国の経済が弱まると一気に歪が浮かび上がります。中国への輸出、中国での生産、中国からの観光客のビジネスなど、かなり高い依存度があります。中国の経済が停滞すると、中国よりも先に問題となる体質なのです。

3.外資依存の経営戦略

韓国は一気に「発展途上国」から「先進国」への変化を行いました。韓国人の勤勉さや教育水準の高さなどももちろん重要なポイントです。 ただそれだけではこの急速な経済発展はできません。当時の韓国の労働力の安さなどから、割安感があり、世界に余っていた外国資本が韓国に入りました。国内の資本よりも海外からの資本をベースに輸出産業が一気に花開きました。その資本が大きく、日本の大企業も結局、遅れをとりました。しかし、外国資本はいわば「儲ける」ためにお金を注入しています。儲からなくなったと思えば、一気に引き上げます。今、韓国で起こっているのは、資本の流出です。これは企業を弱体化させ、社会全体にお金が回らなくさせます。

4.強くなった労働運動

韓国の労働組合運動は強く、ストライキも辞さない戦略です。大企業でも強い労働組合があります。営業成績がいい時には問題は隠れるのですが、悪くなると、労使間の争いは激しくなります。大韓航空の経営は厳しい状況ですが、その状況でもストライキが計画されます。景気が悪くなると会社の状況はさらに悪化するというパターンに入り込みやすいのです。

5.高い若年層失業率

韓国で注目されるのは若年層の失業率が高いことです。若者は賃金が安く、社会の変化に対応しやすい傾向があります。経済発展には若者の労働力が不可欠です。韓国も日本同様に少子化が進んでいる国ですが、その若年層の失業率が高いということは、企業・社会にとっては大きなマイナスです。

6.1997年経済危機を乗り切ったという過信

1997年7月にタイを中心にはじまったアジア通貨危機は韓国も危機に追いやりました。その時は、IMFの支援などもありなんとか乗り切りました。このアジア通貨危機はヘッジファンドが絡むもので、一時的な要素が強かったのです。韓国経済も上向きになっている時でした。ですから危機を乗り切ったあとの展望も見えていたのです。その経験があるから今回も大丈夫、という過信はあまりよくないと思っています。かなり状況は異なります。通貨危機が一時的な要素が多かったのに対して、今回の状況はかなり長期的な停滞を招くものです。以前の経験からの過信が状況を悪くしているように思えます。

このように考えると、韓国は相当に脆弱な経済構造を持っていることがわかります。中国よりも先に問題が顕在化するのです。つまり世界経済のカナリアともいえます。サムソンなどの成功もあり、華やかなカナリアでした。そのカナリアが生き延びるには、華やかさよりもタフさを持った社会構造に変わる必要があります。