衆参同時選挙の後に選挙制度の改革か~夏には間に合わない一票の格差是正

(写真:アフロ)

衆議院選挙での「一票の格差」の是正が問題となっています。衆議院議長の諮問機関である衆議院選挙制度に関する調査会(座長:佐々木毅元東大学長)は、1月14日に、答申を大島衆院議長に提出しました。

そのポイントは以下の通りです。

1.議員定数を10削減する。

2.その削減は小選挙区6、比例4とし、議員総数を465とする。

3.小選挙区は「7増13減」とする。

4.比例は「1増5減」とする。

5.小選挙区議席配分は、地域の人口に基づく「アダムズ方式」を採用し、10年ごとの大規模国勢調査で見直す。

6.中間年の簡易調査で、2倍以上の格差があれば、都道府県内で区割りを見直す。

これは妥当な改正案ではないかと思いますが、問題はこれを決めるのにまだ時間がかかるということです。

本当にこの案でいいかという議論が必要です。すでに自民党内ではかなりの異論が出ています。1票の格差の是正とは、現実的には農村部の議席を減らし、都会の議席を増やすことになります。それでなくても厳しい状況の農村部がさらに衰退する、という議論も出ています。ただこれをいうのなら、1票の格差の是正は小選挙区のもとではできないことになります。また大きな枠での合意ができても、そこから選挙区割りを新たにしなければなりません。その選挙区の候補者や有権者からすれば、大きな影響を受けます。後援会組織も変更しなければならなくなります。 選挙区の周知のためには1年程度かかるといわれます。

となると、今年内の衆議院解散総選挙は新たな制度のもとではできなくなります。ちまたで噂の衆参同時選挙なんてまず無理です。現在の衆議院の任期満了までには間に合うでしょうが、それ以前となるとかなり厳しい日程です。

首相の衆院解散権の行使は制約されるかどうかが議論になります。安倍晋三首相はこの見方には否定的です。まあ、一般的には衆議院解散権は制約されないでしょう。

今の段階で答申が出たということは、近々の衆議院解散総選挙は以前のままのルールで行い、その後、時間をかけて選挙制度改革をし、次の次の選挙では新たな制度での選挙になるというシナリオになりそうです。私はこれもありえるかと思っています。本格的な選挙制度の改革をしてもらいたいからです。そのためには2~3年はかかります。ですから、次の解散総選挙が行われたらすぐに、大改革の議論を始めてもらいたい。小選挙区制度の見直しも含めた活発な議論がほしいのです。

2~3年ごとに衆議院が解散される今の状況では、本格的な選挙制度の改革は選挙が終わってすぐに議論を始めないとできません。次の選挙のすぐ後に、一気に進めてほしいのです。1票の格差の問題だけでなく、より民意が反映される仕組み、選挙にかかる費用が少なくて済む仕組み、誰でも立候補できる仕組みなどがクリアする制度を考えて欲しいのです。衆議院だけでなく参議院の選挙制度も総合的に設計し直してはどうでしょうか。

今の選挙の仕組みは政治家にとってもいいとは思えません。じっくりと政策にとりくめる仕組みではないのです。当選した次の日から次の解散総選挙のことを考えなければならないような選挙制度はやめましょう。盆踊りや新年会をはしごするのが政治家の仕事、となってはいけないと思っています。