台湾経済は脱中国依存ができるのか?

台北の夜景(写真:アフロ)

台湾の総統選挙で新たに民進党政権が誕生することが決まりました。国際関係や政治との関係でこれを分析する人が多いのですが、経済の面からも大きな地殻変動を起こします。

台湾経済の中国への依存度は急速に高まってきました。台湾・元大宝華総合経済研究院によると、台湾の対中国本土輸出額が国内(域内)総生産(GDP)に占める割合は2014年で、約16%となっています。これは非常に高い割合で、マレーシアの19.18%に続きます。アジアで依存度が高いのは、韓国(14%)、シンガポール(10.73%)などです。ちなみに日本は2.48%です。現在、日本はチャイナリスクもあり、依存率を下げてきました。TPP交渉なども積極的に行ってきたのもこうした背景があります。

台湾は馬英九政権のもと、積極的な中国との貿易や中国内への生産拠点の移動を行ってきました。中国経済が破竹の勢いで伸びていく間はこの政策によって台湾経済も急速に成長しました。台湾の一人あたりのGDPは2万ドルを超え、先進国の仲間入りをしています。これは中国経済の急速な発展に引っ張られてのものと言えます。しかし、中国経済が減速する中で、中国への依存は問題化しています。成長に鈍りが見られます。しかも民進党政権の誕生により、政治的な対立が生まれる可能性があります。中国と台湾という問題だけでなく、中国とアメリカとの対立が生まれた時にも巻き込まれる可能性が高くなったのです。アメリカが対中戦略を厳しくしたら、民進党台湾はそれに従うしかないでしょう。その時には中国内の台湾系企業は様々な嫌がらせを受ける可能性があります。これは台湾経済を混乱に陥れます。

とはいえ、現在、台湾にとっての中国は巨大なマーケット。中国は台湾の最大の貿易相手であり、台湾の輸出の40%が中国向けです。また台湾のほとんどの大企業は中国に生産拠点をもちました。簡単な話ではありません。台湾はこれまでアジアにおける自由貿易協定(FTA)の枠組みに入ることができませんでした。TPPにも入っていません。中国との貿易が非常に重要であったわけです。

これからの台湾は中国一辺倒の経済政策から、多様な経済政策を進める必要があります。1月17日に日本の対台湾窓口交流機関、交流協会の大橋光夫会長が民進党の蔡英文主席と会談しました。台湾・中央通信によると、蔡氏は会談で、日台間の経済・貿易協力の重要性を指摘し、自由貿易協定(FTA)推進にも意欲を示した、といいます。これはなかなか意味のある方向です。

これから台湾は、アメリカや日本、アジア諸国との貿易を活発化させ、生産拠点もベトナムやタイなどの徐々に移していく戦略が求められます。とりあえず、自由貿易協定を結ぶ国を増やすことが必要です。台湾は、反中になるのではなく、できるかぎりの全方位外交、全方位貿易というスタイルを目指すことになります。ここまで肥大化した中国との貿易をなくすことは選択肢にはありません。しかし、そこに依存するわけにもいきません。日本との関係は大きな鍵となります。

経済や外交だけの関係にとどまらず、幅広い文化と人的な交流が必要です。親日の国・地域の台湾。日本からの観光客も増えそうです。