台湾での民進党政権誕生が中国内の民主化運動に与える影響

香港のビル(写真:アフロ)

台湾の総統選挙では、民進党の蔡英文氏が圧勝し、初めての女性の総統が誕生することになりました。民進党政権がはじまります。

民進党は中国からの独立志向のある政党です。台湾は中国とはやや距離をおく政策をとることは明らかです。私が注目するのは、台湾ー中国関係、台米日関係、台米日対中国関係だけでなく、中国内部の民主化運動に与える影響です。馬英九政権時代は、台湾は中国との宥和政策を基本としました。しかしこれからの蔡英文政権は、民主化の名のもとに中国との距離をとる政策になるでしょう。

これは、中国の民主化運動に大きな影響を与えるものと思っています。

2014年には「雨傘革命」(Umbrella Revolution)とか雨傘運動(Umbrella Movement)と称される大規模な中国政府への抗議デモが起こります。2014年9月26日から12月15日まで続いた抗議活動です。香港では「一国二制度」の下、高度な自治が認められていました。そしてそれは継続するはずでした。次回の2017年香港特別行政区行政長官選挙(中国語版)から1人1票の「普通選挙」が導入される予定でした。しかし、中国の全国人民代表大会常務委員会は、行政長官候補は指名委員会の過半数の支持が必要であり、候補は2-3人に限定すると決定したのです。これによって中央政府が排除したい人は実質的に立候補できなくなります。これは民主主義の危機だと、学生たちが立ち上がったのです。

2015年になるとこうした活動はときおり起きるものの、締めつけも厳しく、以前のような盛り上がりにはなりませんでした。しかし、火種は消えているわけではありません。中国経済が右肩上がりの時にはなんとか反発を抑えることができましたが、今はなかなかできなくなっています。この台湾の総統選挙は香港の民主化運動にまた火をつける可能性があるのです。この台湾の総統選挙には香港からも大学生が視察にきています。台湾の歴史的な瞬間を見届けたいというわけです。

香港と台湾の運動は繋がっているのです。お互いが刺激し合い、連帯し合い、運動を作っています。台湾の場合は中国政府に対抗する民主化に向けての土台となる政権が誕生したことを意味します。これは間違いなく香港の運動をすくなくとも精神的には支えるものとなります。

台湾の場合も香港の場合も、核となったのが若者と言われます。彼らはこれまでのTVなどのメディアよりもインターネットによるニュースやSNSからの情報を頼りにします。そうした情報をもとに、新たな社会の展望がなされているのです。香港だけではないのです。マカオにも民主化の波は打ち寄せようとしています。

中国の周縁地域には独立運動をしているところがあります。台湾の選挙結果は、そうした運動と直接には結びつかないまでも、心理的な影響は与えます。台湾は「一つの中国」 の枠の中ではありますが、実際には高い自立性がある別の国のようなもの。中国も簡単には台湾の内政や運動をコントロールできません。馬英九政権時代には可能であった世論のコントロールも、ほとんどできなくなります。台湾の運動が、香港をはじめとした中国内の民主化運動を刺激し始めたら、中国中央政府は厳しい状況に置かれます。

これまでは地方の暴動はなんとか抑えることができましたが、規模が大きくなれば、コントロールができなくなる可能性もあります。中国のバブル経済がはじけたら、かなりの混乱が予想されます。かなり現実味を帯びてきたことになります。