日韓外相会談で慰安婦問題の合意が成立~日韓関係の新時代に!

(写真:アフロ)

 歴史的とも言える合意です。日本と韓国の慰安婦問題に関する外相会談がソウルで行われ、合意に至ったというニュースが流れています。なんとも急な展開です。合意するときは、こうしたスピードが必要と思っていました。韓国にも日本にもどのような合意文書であっても不満を持つ人やグループがいます。ですから時間がかかれば、必ず途中でストップがかかります。安倍首相も朴大統領もある一定の反対を押し切って合意に持っていかなければなりませんから、スピード感が必要とされたのです。とはいえ、急な外相会談が設けられ、一気に合意に至るとは驚きです。

 今、分かっている範囲でポイントをみてみましょう。

1.最終的かつ不可逆的解決

 日本が望んでいたのは、この問題がまたぶり返さないこと。日本にとっては、1965年の日韓基本条約で問題は解決したという理解です。そしてそれに付け加えて1993年の慰安婦関係調査結果発表に関する河野談話があり、1995年の戦後50周年に際しての村山談話があります。日本はその都度、謝罪してきたという認識ですが、問題がぶり返されているという思いがあります。今回合意してもまた問題がぶりかえされるのではないか、という不安があります。それを明確に「最終的不可逆的解決」としたところは大きなポイントです。

2.「軍の関与」と「日本政府の責任」

 岸田外相は「慰安婦問題は、当時の軍の関与のもとに、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している」と述べたと報じられています。日本の立場は慰安婦問題は軍人への民間の売(買)春で、あくまで「民間」の問題であるとして、政府に責任はないというものでした。軍の関与を認めたこと、政府の責任を認めたことで、日本政府としては最大限の歩み寄りと言えるでしょう。

3.内閣総理大臣としてのおわび

 さらに岸田外相は「安倍総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちと表明する」と述べています。内閣総理大臣としてのおわびとするか、安倍首相個人としておわびとするか、注目でした。明確に「日本国の内閣総理大臣として」とありますから、国の代表者、政府の代表者としての謝罪という位置づけになります。韓国の主張を相当に入れた形となります。

4.「韓国政府が設置する財団」に「日本政府からの予算から10億円」

 元慰安婦のための基金、財団を作ることは合意されると予想されましたが、どのような形で、どのくらいの予算で作られるのかが注目されました。アジア女性基金での失敗があります。日本の主導だけで基金、財団を作ることは批判を受けるリスクがあります。今回は、「日韓両政府は韓国政府が設置する財団日本政府の予算からおよそ10億円の資金を拠出し、元慰安婦の心の傷を癒すための事業を行うこと」としています。あくまでも韓国政府が作る財団に日本政府が拠出するというスタイルです。これはよく考えられた方法です。日本政府は1~3億円の資金提供をほのめかしていましたが、韓国政府が主張する10億~20億円の範囲になる10億円の拠出金を約束しました。

 日本側として譲歩できるギリギリの線で合意ができました。予想されたものよりもかなりの譲歩です。この合意は画期的なものと言えます。今回の外相会談だけでは決まらないと予想していましたが、一気に合意の実現。これで日韓は、北朝鮮との関係、中国との関係などで戦略の選択肢を大きく広げたことになります。隣国どうしが冷戦を続けるのは、安全保障の点からも経済政策の点からも問題でした。これで2016年は日韓関係の新展開が始まる可能性があります。