日中関係、改善の兆し~長いトンネルからの脱出は可能か?

(写真:アフロ)

 日中関係は長く、暗いトンネルの中にいます。尖閣諸島問題や歴史問題などで、関係はこじれたままです。米中の関係も微妙で、徐々に対立へと向かいつつあります。このまま日中関係が改善されなければ、中国対米日の構図が明らかになります。かなり危険な構図です。

 中国は経済成長を背景にして、強い態度で日本に対応するようになってきました。民主党政権の時からすでに日中関係は厳しい状況でしたが、安倍政権になるとさらに悪化しているといえます。かなり深刻な状況が続いています。

 しかし、ここにきて、日中関係に改善の兆しが見えてきました。トンネルの向こうに光が見えてきています。この光が幻となるか、現実となるかは、来年以降にわかること。両国の対応次第ともいえます。

  背景には中国経済の停滞があります。中国経済はこの20年間、海外からの投資も活発でした。これが過剰投資、過剰設備、過剰負債を呼び込みました。いわばバブル経済を引き起こしました。それでも海外からの資金の流入で成長を続けてきましたが、さすがに限界にきつつあります。海外から資金が入るのではなく、海外へ資金が流出する状況となり、経済の低迷は長期化しそうです。また、アメリカとの関係も徐々に悪化しており、来年の大統領選挙で共和党候補が勝利するとアメリカとの衝突は避けられない事態となります。また台湾総統選挙では民進党候補者が勝利しそうで、これまでよりもはるかに強い中国包囲網が出来上がりそうです。日中関係の改善は経済の点からも国際政治の点からも重要な課題となっているのです。

 11月にはソウルで日中韓首脳会談が開催されました。来年は日本で開催予定です。中国の日本に対する態度も微妙に和らいでいます。「一方的に日本が歩み寄るべき」から「お互いが歩み寄るべき」に変わってきています。中国も対日関係の改善を望んでいるのです。

 私は関係改善のためのキーワードとして二つがあると思っています。

 まず第一に、環境対策です。中国の大都市の大気汚染、土壌汚染、水質汚染は「人類の居住に適さぬレベル」といわれています。このまま放置することはできません。さすがに中国の国民も環境に敏感になっていますから、暴動がおきてもおかしくはありません。また外国人は中国への投資に慎重になっています。これくらい環境が悪くなると、駐在員になるのを嫌がりますし、イメージとしても中国に未来があるとは思えなくなります。中国にとっても環境問題の解決は緊急の課題となっています。環境技術においては日本は重要なポジションにいます。環境問題の解決において、日中の協力は必要です。政治色を薄めた形でも協力が可能です。

 第二のポイントは文化交流です。これくらい日中関係が悪くても、中国人の日本文化に対する興味はますます強くなっていると言っていい状態です。中国からの日本への観光客は増え続けています。日本では日中関係の悪化によりやや関心は薄れているとは言えますが、日本から中国の大学への留学生の数は依然として多く、潜在的な可能性は非常に大きなものがあります。この文化交流をさらに強化することが両国の関係の改善に大きな意味を持ちます。ミュージシャンの交流などを積み重ねる地道な活動が重要になってくるでしょう。

 私は2016年は潮目の変わり時になるのではないかと思っています。長いトンネルでしたので、一気に変わることは難しいでしょう。お互いに不信感も強くなっています。この不信を溶かしていく10年がはじまることを願っています。