国連の分担率10%を切る~問われる人的な貢献

(写真:アフロ)

 国連総会で2016年~18年の各国の分担率を定めた決議が行われました。アメリカは上限の22%を負担します。日本はアメリカに次ぐ分担率2位は維持したものの、9.68%と分担率10%を切りました。一方、中国は経済成長をバックにして、分担率5.15%(6位)から7.92%(3位)へと上昇しています。

 当然といえば当然の話です。日本は20数年にわたって経済低迷を続けてきました。世界200カ国近くが加盟する国連で、いまだに10%近くの財政的な分担をしていることのほうが驚きでもあります。

 問題は、分担率がかなり高いのに、日本の発言力が非常に弱いということです。まず基本的な要素として、国連職員の割合の問題があります。国連機関における日本人職員の数は確かに増加していますが、国連事務局が発表している「望ましい職員数」と実際の日本人職員数にはまだかなりの乖離があります。壁の一つは、語学力。国連職員になるには、英語力だけでなく、他の国連公用語の1~2は使える能力が要求されます。英語だけでも厳しい日本人にとって、さらにフランス語やロシア語、中国語、スペイン語などとなるとハードルは一気にアップします。

 それとともに、国際的なネットワークの中にいる日本人が少ないことも影響率を下げます。国連の中では様々な会議が開催されます。しかしそこに日本人の姿は多くありません。数だけでなく、実際に国際ネットワークの中で中核にいる日本人は少ないのです。国連には多くのプロジェクトがありますが、日本は資金を出しても、発言力は弱いということは確かです。対照的なのは北欧諸国。国が小さいということもあり、分担金などは大きくはありません。国連の分担率が最も高いスウェーデンでさえ、分担率は1%に満たないのです。フィンランド、ノルウェー、デンマークなどはさらに分担率が下がります。しかし、人材としてこうした国の国際的な発言力は驚くほど高いものです。様々な国連のプロジェクトの中核にいますし、紛争解決の場などでもこうした国の人が実務を担っています。金だけでなく、人を出しているのです。国連の中には国際NGOのネットワークもあります。しかしそこで活動している日本人は本当に限定されています。こうした日頃の国際ネットワークが国際政治において重要な意味を持つのですが、日本人はほとんど関わっていないという現実があります。

 UNESCOの分担金と発言力との関係もよく似たものです。拠出を停止しているアメリカが22%、日本は2位で10,83%、3位のドイツが7.14%、4位のフランスが5.59%、5位のイギリスが5.17%、6位の中国が5.14%と続きます。アメリカが分担金の拠出を停止していますから、実質、日本が最大の分担金を支払っています。ですから国連よりはユネスコでは日本の発言権が強いことは確かです。しかしそれでも、ユネスコの世界遺産登録でもめたように、日本は実務では分担率ほどには関わっておらず、発言権はかなり弱いのです。

 国際社会で活躍できる人材の育成こそが重要な課題です。資金の提供も確かに重要な貢献です。しかし、より重要なのは「人」です。小さな大国といわれる北欧諸国は、戦略的に国際的な人材を育成してきました。彼らのネットワーク、情報力が北欧を支えているといってもいいでしょう。 日本が強化すべき方向が見えてくるように思います。